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第1話: 出会いと薄い光

Aiとの共同作成。なんでも許せる方!是非!

春の夕暮れ、春野暖の住む小さなアパートは静寂に包まれている。12歳の少年、ハルは窓辺に座り、曇った空をぼんやり見つめる。両親を亡くした日から、彼の目は光を失い、いつ死ぬかを考えるのが日常になっていた。「生きる意味なんて…ないよな…」と呟き、冷たいガラスに額を押し付ける。


アパートの隣に引っ越してきた新しい住人の物音が聞こえる。ハルは興味もなく立ち上がるが、玄関のチャイムが鳴る。「誰だよ…面倒くさい…」とドアを開けると、そこに立っていたのは長い黒髪と白い肌が印象的な女性、冬華西瑞稀だった。

「こんにちは、ハル君だよね? 私、隣に引っ越してきた瑞稀だよ。よろしくね」と柔らかい声で笑う。彼女の赤いカーディガンが夕陽に映え、ハルの目に眩しく刺さる。ハルは一瞬息を止め、「…うん」と小さく呟く。胸がドキッと高鳴り、初めて感じる感覚に戸惑う。瑞稀に一目惚れした瞬間だった。


瑞稀が「ねえ、ハル君、一人暮らしなの? お母さんいないの?」と聞くと、ハルは目を伏せる。「…いないよ。両親、死んだから」と冷たく言う。瑞稀が「そっか…ごめんね、変なこと聞いちゃって。でも、一人って寂しいよね。私、近所のお姉さんとして何かあったら頼ってよ」と言うと、ハルは「別に…いいよ」とそっぽを向く。でも、心のどこかで彼女の温かさが気になっていた。


翌日、学校帰りにいじめっ子たちに囲まれたハルが路地裏で膝を抱えていると、瑞稀が「ハル君!? 大丈夫?」と駆け寄る。「お姉ちゃんが助けてあげるよ」と優しく手を差し伸べるが、ハルは「助けて…何になるの? 僕、いつか死ぬだけだよ」と呟く。瑞稀が「ハル君、そんなこと言わないで。お姉ちゃん、そばにいてあげるから」と手を握ると、ハルの冷たい指に彼女の温もりが伝わる。

「…お姉ちゃん?」と初めて呼ぶと、瑞稀が「うん、お姉ちゃんでいいよ。ハル君、寂しくないようにしてあげる」と笑う。ハルの目にはまだ光がないけど、瑞稀の笑顔が薄い影を落とす。


数日後、瑞稀が「ハル君、お菓子作ったから食べに来てよ」と誘う。アパートの隣の部屋で、瑞稀が焼いたクッキーを差し出す。「お姉ちゃん、昔こういうのよく作ってたんだ。ハル君、甘いの好き?」と聞くと、ハルは「…苦手」と呟くが、一口食べるとほのかな甘さに驚く。「…悪くない」と小さく笑う。瑞稀が「ハル君、笑った! お姉ちゃん、嬉しいよ」と目を輝かせる。

その夜、ハルはベッドで「瑞稀お姉ちゃん…変な人だな」と呟き、初めて死のことを考えずに眠りにつく。


ある雨の日、ハルが傘も差さず帰宅すると、瑞稀が「ハル君、風邪引くよ!」とタオルを持って駆け寄る。「お姉ちゃん、心配したんだから」と頭を拭いてくれる。ハルが「お姉ちゃん、なんでそんな優しいの?」と聞くと、瑞稀が「ハル君が寂しそうだからだよ。お姉ちゃん、ハル君のこと放っておけない」と言う。

その瞬間、瑞稀の目が一瞬赤く光り、ハルが「え…?」と驚くが、瑞稀が「何か見えた?」と笑う。「…なんでもない」と誤魔化すが、ハルの心に小さな疑問が芽生える。


数週間後、ハルが学校でいじめられ、傷だらけで帰宅すると、瑞稀が「お姉ちゃん、怒るよ! 誰にやられたの?」と抱きしめる。ハルが「もういいよ…死にたいだけだから…」と呟くと、瑞稀が「ハル君、そんなこと言わないで。お姉ちゃん、ハル君が生きてて欲しい」と涙ぐむ。

ハルが「お姉ちゃん…泣かないで」と初めて手を伸ばすと、瑞稀が「ハル君、お姉ちゃんはずっとそばにいるよ」と抱き返す。その温かさに、ハルの心が少し揺れ、生きる希望はまだないけど、「瑞稀お姉ちゃんがいるなら…少しだけ…」と思う。


夜、瑞稀が帰った後、ハルの部屋に甘い香りが漂う。窓の外に赤い目が光り、「ハル…お前の力が…」と呟く声が聞こえる。ハルが「誰…?」と振り返るが、誰もいない。夢だったのかと思うが、心に不穏な影が残る。

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