地球軍隊戦闘機50機が一斉に 各ルームから空中に飛び立った。 敵の火星人もほぼ同数の戦闘機で攻めて来ている。 いっきに空は無数のとんぼで覆われた感じになった。
5年が経過した。
銀河のフィズィカル・スクールでの肉体改造は
ほぼ完成の域に達していた。
彼の肉体は、鋼の様に頑強になった。
兄の流星は外科医学校の最終学年10年生、15歳。
医師免許を取得し、いよいよ卒業だ。
そして、姉の百合はパテシエ・スクール8年生、13歳。
あと2年で百合も卒業する。
105号室の山川室長も木村副長も実戦配備された。
そして、あの神風特攻隊を崇拝していた
加藤も山下も卒業し
銀河は最年少の室長になっていた。
銀河は既に実戦配備されても
通用する隊員に成長しており
他の同学年の戦士を遥かに超越した
能力を発揮していた。
特に5ヵ国語を完全にマスターしているのは
5年生(10歳)で銀河ただ1人だった。
早朝に事件は起きた。
「ゴォ~!」大きな爆音が響く。
「何の音だ! おい、起きろ!」
「ウ~、ウ~、ウ~!」
緊急出動のサイレンが鳴り響く。
各ルームに緊急放送が流れる。
{諸君、緊急事態発生!
全員ルーム戦闘機で迎撃せよ!}
こういう緊急事態発生時の訓練は
いつも実施されているので、銀河達は慌てない。
5分以内に戦闘服を着用して発進できる。
「全員、搭乗完了!」
「よし、行くぞ~!」
銀河室長が、戦闘機の操縦桿を握る。
「室長、ミサイルの準備完了です」
「よし、全員待機せよ」
ルームの戦闘機には
小型ミサイルが搭載されている。
地球軍隊戦闘機50機が一斉に
各ルームから空中に飛び立った。
敵の火星人もほぼ同数の戦闘機で攻めて来ている。
いっきに空は無数のとんぼで覆われた感じになった。
銀河は指令を出す。
「これはやばいぞ。すごい数だ。
全隊員に告ぐ、油断するな! 敵は多いぞ。
ミサイル発射は各自、自己判断で撃て!」
大型特殊戦闘機には10台のミサイル発射口があり
隊員は全員、自由に発射できるシステムになっている。
「室長~!私のミサイル発射口が開きません!」
「何番だ~!」
「6番で~す!」
「慌てるな。リモート・コントロールで開ける」
「無駄に撃つな。各自15発までだ」
「室長、おかしいです。パイロットが小さいです。
それに目が一つです。火星人じゃありません」と
隊員の1人が言う。
「何?・・・そう言えば機体の形も色も違うぞ」
操縦席の上から無線が流れる。
{緊急連絡。金星人のグループでの初襲来です。
相手の出方をよく見てください。
こちらからの攻撃は控えるようにしてください}
銀河は呟いた。
「金星人のグループだって。目的は何だ?
攻撃する気はないらしいな」 (5)