銀河は現在わずか5歳だが 10年で一人前の地球戦士となるように教育される。
地球人は、個々に与えられた寿命の中で
精一杯生きなければならない。
運命の神(GOD)が地球人口のバランスを考え
人間の制限寿命を決定しているので
人口過剰や過少で社会が混乱したりすることはない。
ただ、5歳で肉親と別離し
10年の教育機関で訓練を受け
一般社会に出て行くわけだが
よほどのことがない限りこの10年間は
肉親と再び巡り合えない運命なのだ。
だから、この10年間の間に肉親の誰かが
自分が知らぬ間にこの世を去っている場合もある。
鴻池銀河は無事10年の教育を受け
地球軍隊の一隊員として社会に出てきたら
親兄弟に再会できるチャンスがある。
銀河は現在わずか5歳だが
10年で一人前の地球戦士となるように教育される。
新人担当の岸川教官が言う。
「鴻池銀河、君の寄宿室は105号室だ。
室長は山川平太8年生、副室長は木村一郎7年生だ。
君の105号室には君を含めて11名の生徒がいる。
聞きたいことがあれば、室長か副室長に聞きたまえ」
銀河は、肩から自分の持ってきた小さなバッグを
斜めにかけて広い廊下を進み、105号室の前に立つ。
ドアにあるインタフォンのチャイムを鳴らす。
「鴻池銀河1年生、ただいま到着しました」
「よし、ご苦労さん、中に入れ」
「私は副長の木村一郎だ。これが君の制服と
運動着とシューズ、そして下着など一式だ。
不足な物はその都度与えられる。
君の部屋はそこの E だ。すぐ制服に着替えたまえ。
先ず教育実習現場を案内するから、10分でな」
制服に着替えた銀河は
もう以前の鴻池銀河ではない。
5歳と言えども
凛々しいアース・アーミー1年生なのだ。
「ここが日常君が来る1年生の教室だ。
5年間で5ヵ国語をマスターする教育スクールだ。
見てみろ。あの1年生たちは
3ヵ月前にスタートした生徒達だ。
君は3日後に全員集合する25名クラスだ」
「5ヵ国語って何ですか?」
「英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語
そして中国語だ。韓国語が加わる場合もある。
モバイル・ウォッチで自動翻訳できるが
最低限度、これくらいの言語での意思疎通は必要だ」
「ここは肉体を鍛えるフィズィカル・スクールだ。
体操選手のように、又は忍者のように
オールマイテーな強健な肉体を5年で作り上げる」
「次にここが一番重要な生命に関わるセンターだ。
光線銃などを使った実戦的訓練を行うところだ。
特に火星人との戦いを念頭に訓練している。
宇宙航空隊としての使命を果たすのが任務だ」
「最後にこのカフェテリアで隊員は食事をする。
何か飲んでいくか、何がいい?」
「ミルクセーキ・・・
あの~、パパやママとの連絡は?」
「緊急以外はできない。君が死ぬときだけだ」 (3)