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銀河と岸田はランデングした空港に行き 地球をめざして金星を飛び立った。

 しばらくしてからドクター2人が

黄色い医療ユニホームを着用し

小型の MLG を持って現れた。

正式には Miracle Laser Gun と言う。


 わずか15センチ程度の光線銃だ。

「レーザーを1日15分、3日間

患部に照射してください。胃がんが消滅します」


「これは他のがんにも効くのですか?」

「はい、時間や日数は異なりますが

全てのがん細胞を破壊します。

使用説明書もお渡します。

今回は10個お譲りします」


「ありがとうございます。

早速地球に帰還して

母の治療に使わせていただきます」

銀河は、満面の笑みを浮かべ感謝した。


「王様、王子様、もう一度出直します。

地球と金星の軍事平和同盟締結を実現するために

政府の担当者とともに金星に再び来ます」


 銀河と岸田はランデングした空港に行き

地球をめざして金星を飛び立った。


 地球に帰還した銀河は

急いで司令官の元へ飛んで行き

金星の報告と母親のことを相談する。

そして、金星から持ち帰った MLG を説明する。


「了解。緊急輸送でこの銃を病院に届けよう」


 銀河の兄・流星医師は

直ちに銃を使って母親の処置を実施する。


「ただいまから患部に15分間照射します。

お母さん、なにも痛くありませんから

楽にしていてください」


「ビィーン」「ビィーン」


「どうですか? 内部拡大スコープを見てください」と

流星が助手に命じる。

「すごい!がん細胞が消えていっています。

これはすごい! ほんとうにすごい!」

「周囲の細胞への影響は?」

「別にありません。正常です」

「よし、母さん、やったよ。もうだいじょうぶですよ」


 上から見下ろす逞しいわが子流星の顔を見上げて

母親の花梨は涙ぐみ、言葉にならない。


 この歴史に残る画期的なオペを

見学ルームから見ていた医療の関係者達は

大拍手をして喜びを分かち合った。


 この後、地球上のがん患者は死の恐怖から解放され

健常者として世の中に再び舞い戻って活躍した。


 しかし、この奇跡のレーザー銃 MLG は

あらゆる分野の科学者達が検査しても

地球上で製造することは不可能だった。


 金星が開発した神器・ミラクルレーザーガンは

地球にとってはかけがえのないものとなり

軍事平和同盟締結後、100個の MLG  が

地球に金星からプレゼントされた。 (11)

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