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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
7話 真田丸の戦い
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7-15

 伊達隊の対面に織田有楽斎隊、織田頼長隊が配備されていた。

 伊達隊が接近しても両隊は無反応だった。寝ているのかと思った。


 伊達隊は攻撃を開始した。敵は控えめに反撃した。

 後藤は慌てて中央から左サイドに増援を送り込んだ。忠直隊への攻撃が軽くなった。

 伊達隊は堀を挟んで増援と激しく打ち合った。


 忠直隊は撤退を嫌がった。次のアタックで必ず突破出来るはずだった。

 秀忠は再度撤退を命じた。住吉の家康本陣からも使者が飛んできて撤退を厳命した。


 忠直隊は手薄になった隙に退却を開始した。入れ替わりに藤堂隊が前面に出た。

 藤堂隊は中央の土塁に大口径銃を連射した。速射性の高い大砲、フランキ砲も打ち込んだ。

 敵は真田丸から戦力を抜いて中央に送り込んだ。


 真田丸の火力が減った。西口の両隊はようやく撤退を開始した。

 前田隊、藤堂隊、伊達隊は絶え間なく銃砲弾を打ち込んで敵の動きを抑え込んだ。

 三隊がやっとの思いで安全な所まで下がると、前田、藤堂、伊達隊も徐々に後退した。


 戦闘は昼過ぎには終了した。

 豊臣軍は勝ち鬨を挙げた。大音声で地面が震えた。


 長宗我部盛親は煽った。


「関東兵は百万人いても男子は一人もいないようだなあ!」


 周りは大笑いした。

 長宗我部も気持ちよく笑って、それから周囲を見回した。


「左衛門佐(幸村)はどこだ?」


 真田丸の北側に弾薬庫として使われている蔵があった。火薬の入った壷や、弾丸の入った木箱が置かれていた。

 幸村は扉を開けた蔵の前に立っていた。


 戦闘前は壁や床が見えないくらい沢山弾薬箱が置かれていたのに、今は広々とした床の上に二つ、三つと置かれているだけだった。


 今回は弾薬をふんだんに使ったから勝てた。このレベルの大火力戦を何度も繰り返せば有利な講和条件を勝ち取れるだろう。しかしそれは無理だった。


 後藤がやってきた。彼は幸村の横に立って言った。


「和睦だな」


 幸村は悔しそうに頷いた。後藤は背中をポンポンと叩いて慰めた。


 中央の土塁を攻めた忠直隊の死者が五百。

 真田丸を攻めた前田隊の死者が三百。井伊隊の「死傷者」が百。混成部隊は分からないが、井伊隊よりは少ないだろう。井伊隊は西口の北側で十字砲火を直接受ける場所にいたが、混成部隊は西口の南側にいて十字砲火のダメージが少なかった。


 打たれても病院に搬送すれば助かる。医療体制が充実していれば死者が減って負傷者が増える。現代戦では死者の三~五倍の負傷者が出る。

 有名なノモンハン事件は死者八千、負傷者八千。数字からでも異常な戦いだったと分かる。

 戦国時代は二倍が相場値だ。三倍までは行かない。


 この戦いの幕府側の死傷者は二千五百~三千程度に収まると思われる。

 一部の資料には死者一万五千という数字が出てくるが、これだと死傷者が五万近くなる。しかし三隊はその後も元気に城攻めを進めているので、敗戦ではあるが、まだ許容出来るダメージだったと推測出来る。


 前田隊のネームドクラスの死者は五人。勝手に突っ込む前線と、それを何とかコントロールしようとする後方の部隊指揮官という図が見て取れる。

 これが夏の陣ではネームドの死者が一気に三十人に跳ね上がる。前田隊は小隊指揮官が前線に立つ事で部隊をコントロールしようとした。


 他の藩も前線の統制に苦しんだ。夏の陣では大部隊の指揮官クラスが前線に立つ藩もあった。

 ロシア軍は旅団長や師団長でも最前線で戦死する。これは前に出るしかない圧力や動機が存在していた事を意味する。

 夏の陣は加増の最後のチャンスだと幕府方でも認識していた。本人と上層部の功名心が大部隊指揮官を最前線に立たせた。結果、死傷者は少ないのにトップの戦死で大崩れする部隊が続出した。

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