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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
7話 真田丸の戦い
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7-1

 一六一四年十一月十九日、幕府軍と豊臣軍は本格的な戦闘状態に入った。

 幕府軍は大阪西部の砦を奇襲占領した。


 幕府水軍は広い大阪湾から淀川河口の入り組んだ中州地帯に侵攻した。

 豊臣水軍は中州のあちこちに拠点を築いていた。

 二十五日までに幕府水軍は豊臣水軍最大の根拠地を制圧。残党は残る拠点に撤退していった。


 二十五日夜、幕府軍は大阪東部に進出した。


 大阪城の北側を大和川が東西に流れていた。

 北東の京都方面から淀川が大和川に流れ込んでいた。

 淀川と大和川は大阪城の北側で合流する(合流地点から西側は淀川、東側は大和川と呼称される)。合流地点に架かる京橋を南に進むと大阪城に着く。


 図にすると三角形のような形である。大和川が底辺。淀川が左辺。合流地点が左の底角。


 淀川は古来より物流の大動脈だった。秀吉の時代には淀川東岸に京街道も整備された。

 幕府は京都に最大の補給拠点を築いていた。全軍二十万に毎日米を食わせるには淀川の水陸輸送路の安定が急務だった。

 その最大の障害が大和川に築かれた敵の防御施設だった。


 大和川一帯は湿地帯になっていた。

 夏場の洪水の水がこの時期になってもまだ残っていた。田んぼは海のようだった。歩ける乾いた場所は土手の上ぐらいだった。


 土手の道幅は二車線程度。敵はここに長篠の戦いのような馬防柵を設置した。柵の後ろには深さ二メートルの空堀を掘った。空堀の後ろには高さ二メートルの土塁を築き、その上に竹束を並べた。

 土手の両側の斜面には階段が築かれた。階段の前面にはまた柵+空堀+土塁が設置された。斜面を通って裏に抜ける事は不可能だった。


 大和川の北岸を今福、南岸を鴫野といった。

 敵は今福の土手の上に四つのバリケードを築いた。

 南の鴫野の土手の上には三つのバリケードを築いた。


 幕府軍は明日の攻撃に備えて今福、鴫野に前線拠点を築いた。

 敵の東端のゲートと向き合う形で、土手と斜面に同様の柵+空堀+土塁が一セット設置された。仮に東端から順に第一ゲート、第二ゲートと名前を付けるとすると、これは第〇ゲートになる。


 佐竹義宣隊千五百は北の今福の工事を担当した。夜だったのでたいまつを使った。

 敵は三百。真言宗僧侶で大野治長家臣の飯田家貞が守備していた。


 今福の第一ゲートの敵がたいまつ目がけて打ってきた。二百メートル以上離れているのでまず当たらないが、それでも嫌がらせにはなった。

 佐竹隊は作業地点より前の地面にたいまつを置いた。敵は誰もいない場所を攻撃した。佐竹隊はその間に作業を完成させた。


 上杉景勝隊五千は南の鴫野の工事を担当した。工事現場の前面に妨害射撃を防ぐための竹束を置いた。

 敵は二千。斎藤道三の孫で、豊臣譜代家臣の井上頼次が守備していた。


 上杉景勝が工事現場の見回りにやってきた。

 ちょうど景勝の側近が仕事をさぼって作業を見学している所だった。側近は怖がって妨害射撃を防ぐ竹束の後ろに隠れた。敵からは丸見えだが、景勝に見つかるよりはマシだった。


 鴫野の南に幕府部隊千五百が展開していた。指揮官は安藤正次。徳川秀忠に仕える勇敢で忠実な旗本だった。

 作業は夜明け前に完成した。


 二十六日朝、戦闘準備を整えた上杉隊は嶋野の第一ゲートに接近した。

 敵はまだかがり火を焚いていた。土塁前の空堀に板の一本橋が架かっていた。

 敵は土塁から駆け下りて槍突撃を開始した。


 上杉隊は銃撃を開始した。

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