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2-5

 幕府は各地の宿場に通達を出して、素性の不明な者に宿を貸さないようにした。また関所の取り締まりを強めた。


 大鳥グループは江戸市内の川原や廃屋で野宿した。奉行所の捕縛部隊は夜襲を仕掛けて次々生け捕りにした。

 しかしトップの大鳥逸平は捕まらなかった。グループは江戸中で殺人、強盗、誘拐事件を起こし続けた。


 当時は戦国の荒々しい気風がまだ尊ばれていた。一部の人々は大鳥をダークヒーローとして持てはやした。大名や商人の間では大鳥と交際する事がステータスになった。

 大鳥グループを支援する人々は少なくなかった。彼らはアジトを提供して奉行所の捜査からメンバーを守った。


 夜、大鳥はとある大名の屋敷で接待を受けた。

 マツケンサンバのように着飾った男である。元は幕府の重臣、大久保長安に仕えていた。


 大名と家臣十数名、大鳥と部下十数名が百畳敷の広間に向かい合う形で座った。一人一人に綺麗な女性が付いた。

 メンバーは豪華な食事を取った。


 大鳥は酔ってホラ話をした。


「生きた蛇を馬の手綱に使っている」

「屁で曲が弾ける」

「天狗と相撲して投げ飛ばした」……


 全員大笑いした。


 宴会は深夜に終わった。

 大鳥一行は屋敷を出てアジトに向かった。

 大鳥本人は駕籠で移動した。彼は駕籠の中で酔っぱらって熟睡していた。

 部下は馬に乗ってリーダーを護衛した。こちらも飲酒で顔が赤くなっていた。

 一味最強のイケメン先輩が最後尾を守っていた。宴会では一滴も飲まなかった。


 一行の後ろから足音がした。

 先輩は小声で周囲に言った。


「次の角を曲がったら走れ。俺は残る」


 先輩は馬首を返した。

 一行は次の角を左に曲がった所で駆け出した。


 暗い道の奥から笠を被った武蔵がやってきた。

 先輩は抜刀して馬を走らせた。武蔵も抜刀して駆け出した。

 両者は路上で正面から激突した。


 武蔵は馬の左脇を駆け抜けながら横一文字切りで左前足を切断した。

 固い馬の骨が肉もろとも真っ二つになった。白い骨と赤い肉の断面がスコッチエッグのようだった。

 馬は前のめりになって倒れた。先輩は頭から地面に突っ込んだ。


 馬は首の骨を折って即死した。血だらけの先輩はほふく前進で何とか逃げようとした。

 先輩の後ろから武蔵の足音が迫ってきた。

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