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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
11話 天王寺・岡山の戦い
145/145

11-17

 城内に道場があった。

 武蔵の父、新免無二斎は子供にマンツーマンで稽古を付けていた。


 無二斎は自分の刀の柄に手をかけた。

 対面に立った子供はノーガード戦法でだらりと両手を垂らした。色白で目付きの鋭い子供だった。


 子供は反時計回りで無二斎の背後に素早く回り込んだ。そして「こじり」と呼ばれる鞘の後ろの先っぽを右手で掴み、尻の上方まで持ち上げた。これで刀は抜けなくなる。

 子供はこじりを右手で前に押し出しつつ、左手で無二斎の左手首を後ろに引っ張った。無二斎はバランスを崩してうつ伏せに倒れた。

 子供は無二斎の左腕を脇固めで決めた。「こじり返し」と呼ばれる技である。


 無二斎はタップした。子供は技を解いて立ち上がった。

 無二斎はしばらく立ち上がれなかった。

 子供は片手を差し出した。無二斎は小さな手を取って立ち上がった。


「上達のお早い事です」


「お師匠様のおかげです」


「いや、うちの息子の百倍才能ありますよ」


 子供は目を輝かせた。


「武蔵殿ですね!私と同じ頃はどんな稽古をなさっていたのですか!?私もやりたいです!」


「それは今日の夕飯の時にでも話しましょう。さあ、後十本!」


「はい!」


 武蔵は道場の入り口に寄りかかって稽古を見ていた。

 子供は武蔵に背中を向けていた。

 無二斎と武蔵は目が会った。


 武蔵はお辞儀して立ち去った。

 無二斎は金打を鳴らした(刀を少し抜いて戻してカチンと音を鳴らす。誓約を意味する)。


 子供は後ろを見た。武蔵はもういなかった。

 無二斎は子供に呼びかけた。


「道場であっても戦場と同じ気持ちで!隙を見せてはなりませんぞ、延由様!」


 木下延由は振り返って、元気よく「はい!」と答えた。


(終わり)

一か月ほどしたら

現代の大阪を舞台に、剣と魔法と近代兵器で高校生が犯罪組織と戦う話やります。

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