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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
11話 天王寺・岡山の戦い
144/145

11-16

 現在の大分県中部に日出藩がある。

 南には別府湾が広がり、北には鹿鳴越連山がそびえている。南の海沿いに藩主木下延俊が住む日出城が建っている。

 木下の義兄、細川忠興が設計を担当した。別府湾を一望出来る美しい城だった。


 笠男は城を訪れた。

 門番は怪しんで名を尋ねた。

 笠男は笠を取って名乗った。


「失礼しました。播州牢人、宮本武蔵と申します」


 武蔵と藩主の木下延俊は本丸御殿の座敷で面会した。

 武蔵は中央政界の情勢を話した。


 松平忠明は五万石加増で大阪十万石を与えられた。

 水野勝成は三万石加増で大和郡山六万石を与えられた。


 大阪は戦乱で荒れ果てていた。大和郡山は焼き討ちで壊滅していた。幕府は高い内政能力を持つ二人に都市復興の任務を託した。


 冬の陣で活躍した蜂須賀家は七万石加増された。

 夏の陣で幸村隊を撃破した井伊家は五万石加増の上、四段階高い官位に昇進した。

 八尾の戦いで活躍した藤堂家は五万石加増の上、二段階高い官位に昇進した。

 伊賀の一揆を防いだ松倉重政は三万石加増された。

 毛利隊の突破を止めた土井利勝は一万七千石加増された。

 冬の陣初戦で木津川口砦を偵察して勝利を決定付けた佐久間安政は一万石加増された。


(本多忠政の息子、忠刻は千姫と再婚する。

 戦いから二年後に姫路城の池田氏が急死。本多忠政は五万石加増で姫路城に転封する。忠刻は千姫に与える形で父とは別に十万石加増される。小笠原家を継いだ忠政の娘婿、小笠原忠真は二万石加増で明石城に転封する。

 忠刻と忠真は武蔵の人生に深く関わっていく)


 幕府は冬の陣のMVPが蜂須賀家、夏の陣のMVPが井伊家と考えていた。

 実は隠れたMVPが一人いる。

 冬の陣直前、総大将に担ぎ上げられるも逃亡した織田信雄は五万石加増された。

 大野は城内をコントロール出来ずに分裂させたが、信雄なら分からなかった。幕府はそう判断して大きな評価を与えた。


 松平忠直は官位昇進のみに留まった。本多忠朝は戦死する事で抜け駆けの罪を許されたが、忠直は許されなかった。

 前田利常は加増転封の内示を断り、官位昇進のみを受け入れた。

 浅野長晟は官位昇進に加えて、家康の三女との結婚が決まった。

 伊達政宗は官位昇進のみ。冬の陣後、伊達家は政宗の息子に与える形で十万石加増された。これでまた五万石、十万石と与えると周りとのバランスが取れない。代わりに秀忠は全幅の信頼を与えた。俗に副将軍と呼ばれる所以である。

 政宗の婿、松平忠輝は改易される見込みという。


 夏の陣から二か月後、幕府は武家を規制する新たな法律、武家諸法度を公布した。元々は一六一四年の夏に上洛して公布する予定だったが、方広寺事件で上洛そのものが取りやめになった。

 時代は変わろうとしている。


 木下は武蔵の今後を尋ねた。


「一旦地元の姫路に戻って道場でもやろうかと。次の戦が始まる前に、今回得た知見を技に反映させたいと思っています」


「もうないだろ……」


「将軍家は違反者は誰であろうと許しません。これから多くの大名が法令違反で改易されるでしょう。また(牢人が集まって戦が)始まりますよ」


「今回は担ぐ神輿があったから戦争になった。だがもうない。俺とお師匠様が責任を持って保管するよ」


 武蔵は退室して廊下に出た。

 木下家に仕官した乳母の夫が前からやってきた。

 二人は会釈してすれ違った。

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