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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
11話 天王寺・岡山の戦い
137/145

11-9

 幕府軍は防御陣地を突破して天王寺の市街地に雪崩れ込んだ。

 豊臣軍は大阪城に向かって敗走した。


 幸村は兵士十人と茶臼山の北にある神社に入った。負傷兵は戸板で運んだ。


 幸村はまだ戦える兵士五人に入口の鳥居を守らせた。

 負傷兵三人は境内で応急治療した。幸村は兵士に包帯を巻いて、竹筒に入った飲み薬を飲ませた。負傷兵は涙を流して感謝した。


 鳥居の小部隊と敵の銃撃戦が始まった。すぐに打ち倒されて忠直隊三十人が乱入してきた。

 負傷兵達は不安な表情で幸村を見つめた。

 幸村はゆっくり立ち上がって両手を挙げた。


「この首には四十万石の価値があります。欲しければ三人は諦めてください」


 敵は幸村に向かって銃を構えた。


 忠直本隊はそのまま市街地の左サイドを直進した。

 前田隊は右サイドを駆け抜けた。


 水野勝成隊は市街地中央を北上した。背後からは松平忠明隊、本多忠政隊、井伊直孝隊、藤堂高虎隊が追ってきた。


 水野勝成と宮本武蔵は部隊の先頭を走っていた。

 勝成は振り返って部隊を激励した。


「一番乗りで六十万石だ!知行(給料)二十倍にしてやるから死ぬ気で走れ!」


 水野隊は加速した。


 逃げる幸村隊と治房隊は城下町を守る南の惣構えに接近した。

 惣構えには複数の門があった。守備兵は逃げ出していなかった。

 幸村隊は西側と中央の門、治房隊は東側の門を潜って城下町に退却した。


 忠直本隊は西側の門、水野隊は中央の門、前田隊は東側の門に接近した。

 中央の門から明石全登隊三百が出撃してきた。キリシタンの明石は兜に十字架が付いた十字前立兜を被っていた。


 明石隊は水野隊目がけて突撃した。

 勝成は臨時ボーナスゲットで狂喜した。


「明石の首美味しいいいいいいいいいいいい!」


 水野隊と明石隊は正面から激突した。後から松平隊、本多隊が突っ込んできた。四隊は門前で戦った。


 その間に忠直本隊は西側の門から城下町に突入した。

 井伊、藤堂隊は四隊の戦いを尻目に、中央の別の門から城下町に突入した。


 前田隊も東側の門から城下町に突入した。

 門の前にはかつて真田丸があったが、今はただの更地になっていた。真田丸の戦いで歩けなくなった武士は部下に輿を担がせて門を潜った。


 明石隊は敗れて南西の方向に敗走した。本多隊は追撃した。

 水野隊、松平隊は明石隊が出てきた門を潜って城下町に入った。


 市内は逃げ惑う市民や敗残兵で大混乱に陥っていた。

 建物は燃えていた。市民の一部は暴徒化。同じ避難民から略奪して街に火を放った。服まで奪われて全裸の市民も多かった。


 大阪城の北に淀川が流れていた。主な橋は幕府軍に焼かれて落ちていた。

 兵士や避難民は残った橋に殺到した。橋は重みで落ちた。


 避難民の一団は船を用意して渡ろうとした。

 幕府軍にとって、避難せずに城下町に残った市民は敵の仲間だった。

 対岸の幕府軍は銃撃した。船上の人々は打ち殺された。

 パニックになった群衆は川に飛び込み、そして押し流されていった。


 城の東は湿地帯だった。葦原の中に落ち武者狩りや山賊が潜んでいた。

 兵士と避難民は湿地帯に足を踏み入れた。藪原から落ち武者狩りが飛び出してきた。


 城の西は平地だった。北側に淀川が流れていた。

 大阪城北部から大量の死体が流れてきて、淀川の途中で目詰まりを起こした。裸の避難民は死体の橋を渡って対岸へ逃げた。

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