表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
11話 天王寺・岡山の戦い
134/145

11-6

 本多隊と毛利隊は正面から激突した。

 毛利隊は先鋒の本多親衛隊に猛射撃を浴びせた。三角形の陣形は先端が崩されて台形になり、左右が崩されて正方形になった。


 毛利隊は火縄銃を連射した。正方形は蒸発した。

 本多を含む多くの家臣が倒れた。まだ息のある家臣数人は、主君の首だけは取られまいと、本多の死体に折り重なってから死んだ。

 毛利隊は家臣を散々銃で打ったり槍で突いたりしたが動かなかった。仕方なく一人づつ剥がしていって、何とか一番下の本多の死体を発掘した。


 本多隊は崩れて逃げ出した。


 忠直は本多隊に援軍を送れなかった。天王寺の戦いは始まったばかりで、まだどうなるか分からない。逆にフリーになった毛利隊が北上してくる可能性さえある。

 忠直は別動隊Bを本隊後方に展開して警戒に当たらせた。毛利隊への対処は榊原隊と別動隊Aに任せた。


 毛利隊は北上せずに南下を続けた。


 榊原隊は前線に急行した。

 前から本多隊の敗残兵が逃げてきた。榊原隊は「待て!」、「逃げるな!」と叫んだが止まらなかった。

 進む部隊と引く部隊が交差した。榊原隊の一部は引く部隊に混ざって逃げ出した。

 正面から毛利隊が勢いに乗って突撃してきた。

 榊原隊は戦う前から崩れた状態で開戦した。


 毛利隊は猛攻を仕掛けた。榊原隊は崩されながらも何とかその場に踏みとどまった。

 両隊は揉み合いになった。

 榊原隊は必死に膠着状態に持ち込んだ。このままクリンチで耐えていれば味方の援軍が飛んでくる。


 榊原隊の中央と右サイドの部隊は時間稼ぎのディレイ守備に徹した。

 耐えて時間を稼ぐのは辛い。楽になりたくて飛び込んでしまう。

 榊原隊の左サイドに属する小笠原秀政隊は単独で突撃した。

 毛利隊は小笠原隊の全力突撃で一時三百メートルほど後退したが、やがて態勢を立て直して押し返した。

 小笠原隊の先鋒が崩れた。前線近くにいた秀政の本陣が露出した。


 秀政の息子、忠脩は一人で本陣から飛び出して突撃した。敵は十人で取り囲んで串刺しにした。


 敵は秀政の本陣に襲いかかった。小笠原親衛隊は秀政を中心に円陣を張った。

 敵は鉄砲で親衛隊の一角を打ち崩して、その穴から槍突撃した。秀政は正面から突っ込んできた二人に槍で突かれて倒れた。

 敵は倒れた秀政に止めを刺そうと何度も突き刺した。親衛隊は鉄砲を打って追い払った。


 秀政は瀕死の重傷だった。敵はまだまだやってきた。親衛隊は秀政を戸板に載せて後方に運んだ。


 中央戦線は大混乱に陥った。


 指揮官を失った小笠原隊は南に逃げた。

 パワーダウンした榊原隊は毛利隊に押し込まれ、やがて崩れて敗走した。


 東から土井利勝隊が飛んできて、毛利隊の行く手を塞いだ。

 忠直の別動隊Aは防御部隊を撃破して西から毛利隊に迫った。

 南からは酒井家次隊五千が北上してきた。


 三隊は混乱する中央戦線に突入した。逃げ出す兵士と突き進む兵士が入り乱れた。


 救援第二陣の井伊直孝隊、藤堂高虎隊も天王寺に向かっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ