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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
10話 道明寺の戦い
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10-11

 数で劣る軍隊が最も恐れるのは正面からの殴り合いである。物量ですり潰されてしまう。

 幸村は少数でも大軍と戦える有利な地形を抑えて敵を迎え撃つ予定だった。


 勝成は強行軍で先に有利な地形を奪取した。幸村の戦術プランは崩れた。

 ここは全軍撤退しかない。土地は取られるが兵力は失わずに済む。しかし後藤が馬謖のように山に上った事で戦闘が始まってしまった。

 勝成は正面からの殴り合いを強制した。


 幕府軍と豊臣軍は石川西岸の道明寺で激突した。

 最北端に水野勝成隊四千。その南隣に本多忠政隊五千が展開した。


 道明寺には北から市野山古墳、仲津山古墳、誉田山古墳と大きな前方後円墳が三つあった。その間にも小さな円墳が幾つかあって、これらが砦の役目を果たしていた。


 薄田兼相隊千は市野山~中津山の古墳群に陣取って水野隊に対峙した。明石全登隊二千は中津山~誉田の古墳群に陣取って本多隊に対峙した。

 敵味方の間には田んぼと小川が入り混じった田園地帯が広がっていた。


 誉田山古墳は日本で二番目に大きな古墳である。古墳の南に誉田八幡宮と門前町の誉田村があった。

 この誉田八幡宮に渡辺糺隊千。誉田村に真田幸村隊一万が展開した。

 渡辺隊の対面に松平忠明隊四千。幸村隊の対面に伊達政宗隊一万が展開した。

 南側も北と同じような田園地帯だった。


 松平忠輝隊一万二千は石川の東岸に待機した。

 毛利勝永隊三千は古墳群の西側の藤井寺に待機した。


 水野、本多隊は竹束と銃を構えて前進した。

 対面の薄田、明石隊は銃撃を開始した。両隊は応戦した。


 指揮官の薄田を先頭に、槍兵二百人が水野隊に突っ込んできた。仲津山古墳の明石隊三百も連動して突撃を開始した。

 勝成はラインを下げた。


「引け、引け!一旦下がるぞ!」


 水野隊はしんがりに銃兵部隊を置いて後退した。

 味方銃兵は銃撃しつつ後退した。

 先頭の薄田は弾幕に突っ込んで即死した。後続の槍兵は打ち倒された。


 薄田、明石突撃隊は一旦下がって立て直すと、再度槍突撃を仕掛けた。

 銃兵は引き打ちで対応した。

 水野隊はその間に東の小川まで下がって態勢を立て直した。


 小川に全長十メートル、幅二メートルの石橋が架かっていた。

 武蔵が橋の真ん中に張飛のように立っていた。

 味方銃兵部隊は武蔵の脇を通って東岸に後退した。


 敵槍兵一人が味方を追って橋に突っ込んできた。

 武蔵は右打者の構えで大木刀をフルスイングした。

 敵兵は橋のらんかんを飛び越えて小川に落下した。


 続いて敵槍兵二人が飛び込んできた。

 武蔵は両手突きで敵Aの顔を突き倒すと、左打者の構えにスイッチ。敵Bをフルスイングでらんかん越えホームランした。

 敵十人が雄叫びを上げて突撃してきた。

 武蔵は大木刀を左右に振り回して全員なぎ倒した。


 突撃隊は橋の手前で止まった。恐怖で足がすくんだ。

 武蔵は一人で橋を渡って突撃隊五百人に突っ込んでいく。


 味方銃兵部隊は東岸に横一列に立って連射した。

 突撃隊は打ち倒された。


 武蔵は足を止めて振り返った。

 味方の槍兵が橋を渡り、武蔵の両脇を通って崩れた敵部隊に突撃していった。


 水野隊は敵を押し返した。深入りした突撃隊は逆突撃で蒸発した。


 明石は薄田隊の陣地に乗り込んで指揮官戦死の混乱を収拾した。自分の部隊は副指揮官の弟に任せた。


 水野、本多隊が前面に迫ってきた。

 明石隊と旧薄田隊は銃撃を開始した。

 地形的には古墳を抑えた明石隊が有利だった。水野、本多隊は無理に突っ込まず、五十メートル先から銃弾を打ち込んだ。


 敵味方は激しく打ち合った。

 持久戦になればサイズの小さい明石、旧薄田隊が先に根を上げる。水野隊、本多隊はボディブローのように相手の兵力、物資を奪っていった。


 武蔵は橋の手前に立っていた。この戦場で剣士に出来る事はない。背中のヤカラ旗が硝煙混じりの白い風に棚引いていた。

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