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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
10話 道明寺の戦い
117/145

10-3

 五月四日、枚方に集結していた河内方面軍は東高野街道を進軍した。


 枚方の南は巨大な湿地帯だった。

 湿地帯の東には生駒山地がそびえていた。麓は乾いていて歩きやすかった。

 河内方面軍は生駒山地の西の麓の道に沿って南下した。


 道幅は細かった。部隊の隊列も自然に伸びた。

 東には山がそびえていて、西には見晴らしのいい湿地帯が広がっている。部隊は縦長に伸びて側面攻撃に弱い形になっている。

 河内方面軍は奇襲を警戒しつつ先を急いだ。


 翌日の五月五日朝、家康親子率いる幕府本隊は京都を出発して枚方を目指した。

 幕府軍主力は北の京都から来た。豊臣家の予想は外れた。


 豊臣家首脳部は何らかの手段で幕府軍主力が東高野街道ルートを取る事を察知した。

 捕虜を尋問したか。近隣住民の通報があったか。偵察部隊を送ったか。

 正しい情報を得ても、司令部が「これは偽情報だ」と判断したら意味がない。正しい情報には正しい判断が必要だ。

 首脳部は東高野街道情報は真実だと判断した。


 五日午後、豊臣秀頼、大野治房、治胤兄弟、木村、長宗我部盛親は本丸御殿の大広間で秘密会議を開いた。

 長宗我部は本陣奇襲を提案した。


「徳川軍十二万と言えど、両将軍の首を取ればこちらの勝ちです。今夜出撃して奇襲を仕掛けましょう。桶狭間をもう一度起こすんです」


 治胤と木村は「異議なし」と同意した。

 治房は悩んだ。

 ハイリスクハイリターンな作戦だった。成功すれば明日戦争は終わる。失敗すれば精鋭部隊が蒸発する。

 木村は治房を説得した。


「左衛門佐様(幸村)がここにいれば、土佐守様(長宗我部)に全面同意なさったはずです。ここは勝負に出ましょう!」


 治房は秀頼の判断を求めた。


「天の機嫌次第だな。我らは人事を尽くすのみだ」


 木村は説得を重ねた。


「平野に使者を送って左衛門佐様の判断を仰ぐのはいかがですか?


 長宗我部は拒否した。


「それは駄目だ!後藤に話が漏れる」


 長宗我部は後藤が幕府のスパイだと疑っていた。

 治房も同意した。


「内通者に奇襲を漏らす訳にはいかない。今この場にいる者だけで決めるべきだ」

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