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大坂の陣で豊臣軍と戦う宮本武蔵  作者: カイザーソゼ
10話 道明寺の戦い
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10-2

 五月四日早朝、河内方面軍の斥候部隊が大阪城北部の今福、鴫野までやってきた。木村重成は首脳部の承認を得ないで独断で出撃。斥候部隊を撃破した。


 四日午前、秀忠は伏見城大広間に大和方面軍先鋒隊を率いる水野勝成を呼んだ。

 秀忠は勝成の功績を称えた。


「前線から呼び戻して申し訳ありません。

 二十八日の働きは大変素晴らしかった。おかげで奈良は救われました。これをもらってください」


 小姓五人がお盆を持って大広間にやってきた。一つのお盆に金塊が十本乗っていた。

 勝成の前に五十本の金塊が置かれた。

 勝成は「ありがたく頂戴いたします」と感謝した。

 秀忠は釘を刺した。


「ところで叔父上は幾つになられました?」


「えーっと、五十ぐらいじゃないですかね?」


「大御所は叔父上を大変心配しています。『もういい年なんだから、昔のように先頭に立って戦っては困る』と。しませんよね?」


「いやだなあ、将軍家。そんな事する訳ないじゃないですか!」


「諸将は勝ちより自分の手柄を優先しています。そのため全体の勝利が危うくなる局面が冬の戦争では何度かありました。叔父上には軍の統制の手本となっていただきたい」


 奈良の救援では勝成の他にも松倉重政、奥田忠次が戦功を挙げた。

 数日前、家康は二人を二条城に招いて黄金を贈った。

 松倉は敵兵の首を幾つか献上した。家康はこの戦いの一番首だと喜んだ。

 奥田は羨ましがった。


 秀忠と勝成が面会している間、宮本武蔵と柳生宗矩は伏見城の別室で会った。


 柳生は前線に出る武蔵に旗指物を贈った。

「釈迦者仏法之為知者 我者兵法之為知者」と書かれてあった。これは「釈迦は仏教を知っているが、俺は戦いを知っているぜ」という意味だ。

 武蔵は嫌がった。こんなヤカラ旗は使いたくなかった。

 柳生は半笑いで勧めた。


「これを付ければ敵がワラワラやってきますよ。手柄は立て放題です。

 私も見たいんです。現在の戦場で剣術家がどこまで行けるのか。頑張ってください」


 勝成が部屋にやってきた。


「おう、帰るぞ!帰るぞ!」


 武蔵は泊まるように言った。


「急いで来たのにすぐ帰る事もないでしょう。泊まったらどうです?」


「いーーーや!敵も当然今日は帰らんと思うよな?徹夜直帰だ!」


 武蔵は嫌々立ち上がった。柳生は苦笑いした。


 勝成は少数の護衛を連れて徹夜で帰った。

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