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⒆『矛盾帝国』
⒆『矛盾帝国』
㈠
ものすごい矛盾じゃないか、と人は呟く。声を大にして呟く、声を大にしてるんじゃ、呟いたことにはならないだろう、しかし、言葉は発しただろう。こんな調子でだらだらと、文言を述べるのが、矛盾帝国の為体である。
㈡
しかしどうだ、それがどうしたというのだ、難しいことじゃないんだ、要は、何かを言うこと、それは、意味のあることだろう。『意味という病』を乗り越えて、我々はもう一度、言葉の意味、と言うものを考えねばならない。
㈢
複雑怪奇な、矛盾帝国の現状も、何かを乗り越えた時に、新しい何かが芽生えるだろうから。草原に背を合わせて、寝転んで、上方を見上げた時に、初めに発見した雲が、形を変えて動き、分裂する様に、矛盾帝国は酷似しているから。