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⒃『矛盾帝国』
⒃『矛盾帝国』
㈠
矛盾に次ぐ矛盾、そうである、我らが帝国、矛盾帝国の話であるが、やはり思うところ、矛盾は矛盾であって、矛盾しない方が良いかと問われれ場、確かにそう思うと、答えるだろう、神を目の前に、まさに眼前にしても。
㈡
どうやらこの矛盾は、しかし、昔からのものではない様だ。現に我々は、敗戦国ながら、戦争に巻き込まれずに平和に暮らせているから、恩恵を受けているのだと信じたい。信じちたいというより、矛盾帝国は、云わば、頑張っているのである。
㈢
であるからして、である。自分も、矛盾帝国に感謝するとともに、もう矛盾帝国なんて、呼ばないで置こうという意見もあるだろうが、実際、現在の日本帝国を直に指しているのではなく、フィルターを当てた、小説としての矛盾帝国だから、やはり、小説は飽くまで小説なのである。