ナルシズムMARIONETTE
真優と二人。玄関の鍵を開け、同時にため息を吐く。この部屋。勿論、そうだけど、真優の香りがする。私は旅疲れ。ベッドで横になる。真優はどうやら、キッチンで何かを作っているようだ。テレビをつける。ニュースか。このアナウンサー、私たちに似てるな。くだらない、銀行強盗が鳥取市内であったとニュースは伝える。林檎が私にキスをしてくれた。
「林檎。いきなり、元気だね」
「ニャーニャー」
と林檎は私の頬をナメテ、嬉しそう。着替えるとするか。私は服を脱いで、黒いカーディガンへと着替える。黒。黒。黒。どうして、世の中に色が存在するのだろうか。私は、冷蔵庫を開けて、真優の唇にキスをした。着たばかりの服から、二人の堤真優は全裸へと。変貌。ベッドの中二人の私はセックスを楽しむ。こういう時代になった。ナルシズムか。ベッドには快楽。真優は、今日、少し疲れてる。私は真優と深いクチヅケを交わし、快楽を頂点に感じた。
「ねえ、真優」
「どうしたの、真優」
「愛してるわ」
「私も、心配事なんていらないから」
「うん。ねえ、明日、デートしようよ」
「うん」
真優が二人。明日のデートの楽しみを話す。真優が作ってくれたチキンライスを食べる。ゆったりとした食事。林檎にもおすそ分け。私たちは小さな頃からそうだった。自分しか見えない。自分しか愛せない。ママは私たちのナルシズムを知った。そして、私たちの前から消えたのが高校三年の夏休み。ママも堤真優なのに。きっと、傷ついたのだろうな。自分と顔も性格も同じ人間達が、ナルシズム、愛し合っている。セックスもする。未来も共にすると誓った。ママは今どこで何をしているのだろう。私たちはチキンライスを食べながら、複雑すぎた過去を思い返した。そして、ワインを開けた。明日を楽しみに。私たちという堤真優は。