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健全なお付き合い

ドミニクの婚約が成った日に父侯爵に呼ばれて話を聞いた。


曰く、公爵の不意打ちでムカついたが婚約自体は望ましいものである。

曰く、とはいえ領地貴族家と王宮貴族家との確執はまだ残っているので必ずしも世間的に歓迎されると考えない方がいい。

曰く、政治状況次第では破談もあり得るのでそのつもりでいるように。


概ねドミニクの想像した通りであった。

セリーヌ嬢については好ましく思ったので破談になった時に傷ついて欲しくなかった。

思春期の6年間はなかなかに難しい状況ではあるが人生2度目の自分が守ってやりたく思った。


※※※


一月後、ドミニクはクレージュ公爵邸に訪問するために初めて侯爵邸から外に出た。

お付きはあの鉄面皮の侍女とアニキ騎士である。

馬車に乗るのが初めての12才の男の子である。

珍しく年相応に興奮してキョドってしまった。

侍女は無反応でいてくれたがアニキにニヤつかれてしまったのがちょっと悔しい。

数軒先のご近所さんではあるのだが王都の上位貴族の邸宅が並ぶ区域はそれぞれが広大な敷地を持っているので馬車でも30分はかかるのだった。


「いらっしゃいませ、ドミニク様。お待ちしておりました。」

「お出迎えいただきましてありがとうございます。またお会い出来て嬉しく思います。」


社交辞令の挨拶ではあっても互いに和やかに話した好印象があるので親しみがこもっていた。

この距離感のまま1年間互いの邸を行き来して、2年目からは観劇や散策、街歩き等のデートも交えるようになった。

とはいえ判で押したように月1回である。

スケジュールがびっちり詰まっているので当然なのだ。

観劇、散策、街歩きも簡単ではない。

警備の都合もあるため予め決められたコースを時間通り回ることになる。

しかも侍女や護衛の先導付きでだ。実に至れり尽くせり。

前世の「デート」との違いに遠い目になるのは仕方のないことだった。

それでも関係は緩やかに進展して互いの好みを知ったり、共通の話題が出来たりしていたのでドミニクの美意識に合致した。

実に貴族らしい男女交際ではないかと。

3年目からはダンスの練習も行われるようになった。

15才の貴族学園入学直前の春に王宮にてデビュタントが行われて社交界デビューとなるが社交界でのパートナーは当然婚約者である。

青春のモヤモヤを鍛錬で昇華させたドミニクはダンスでもキレッキレであった。

セリーヌ嬢もなんでも卒なくこなすタイプでダンスも安定して踊れた。

セリーヌ嬢の身長は女性にしては結構高いのだが180cmを超える高身長のドミニクとのバランスはちょうどよかった。

ドミニクの顔面の女性的な美しさとは裏腹にグイグイとダンスをリードする男らしい様は女性ウケがいいようで練習を見ていた鉄面皮侍女以外の侍女やメイドは顔を赤くして見惚れていた。

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