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貴族の情事

アニキが踏み込んできたなと身構えていたら次は直球できた。

さすが騎士だけのことはある。思い切りがいい。


「邸には若い女性が多いでしょう?侍女やメイドとか。

坊ちゃんがその気になったら応えてくれる娘は多いです。

まあ侍女は貴族ですから、その扱いには気をつけてくださったほうがいいんですけど、メイドは大概いけます。

あまり深い仲になってはいけないので数回ですけど、彼女たちはその後に多額の退職金と侯爵家の推薦状が貰えるので実はお手付きはご褒美みたいに考えてる娘も多いんです。

侍女の場合は侯爵家から有利な縁談を斡旋してもらえることになっているので損はしないはずです。

まあ、その、合意があれば問題はないのでして…」


どうやら据え膳は既に用意されていたらしい。

そしてこれは罠だとも思った。

淺ましい衝動を抑えられない人間に誰が従うだろうか。

貴族は据え膳を食ったらアウトなのだ。

またこの話から自己処理が禁則事項であることを察した。

薄々は感じていたがこれはキツい。

まあ自分の貴族としての美意識に反する行いなどハナからするつもりはないのだが。


(それ以前に自室にいてさえも気配がね…無理)


「成る程な。でもまだ私は10才だ。子を成すには早すぎる。

しかし、そのような仕組みを知る機会は滅多にないものだ。

教えてくれてありがとう。」


アニキ騎士はホッとした様子で頷いてくれた。

10才のガキに向かって愛人の話であるとも言えず、ドミニクの装った勘違いに乗っかったカタチだ。

マリオン侯爵家は嫡男の教育に手厚い。

これは自分の子供にもいずれ用意してやるべきことだ。


武術の鍛錬に乗馬と体育的なものも多いが家庭教師による座学も当然ある。

こちらは2度目の人生であり、学ぶ楽しさを知っているので子供らしく飽きてしまうこともない。

常に熱心に授業を受け、課題にも積極的に取り組むので評判はすこぶる良い。

絵画や音楽などの芸術系も嗜みとして学ばせてせもらえるので嬉しい限りだ。

さらに礼儀作法やダンスも教えてもらえる。

もともと貴族に漠然とした憧れがあって今の貴族的ルックスが気に入っているので異常に熱心に取り組んでしまったため、こちらは称賛を通り越して引かれてしまった。

プライベートがお粗末過ぎることの腹いせに勉強し倒したといったところだったが皆が褒めてくれるので結果オーライだろう。


そんなふうに青春のモヤモヤを有意義な諸々に昇華させつつ成長していった12才の冬、それはマリオン侯爵邸を訪れた。

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