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消滅魔法で正義を翳す〜悪だと思う?正義はあるよ?〜  作者: 姫宮涼明
1章 出会いと光
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倒れる巨体と動き出す闇


 また光った。


 今度は白い色。


 何者にも染まる、無色ではない明確な白。


 その光がいま、紫紺の光と重なって光る。


 楽しみだ。










 紫紺の刀身、駆ける身体。



「せぇぇや!!」



 蒼の巨体に一筋の光が描かれる。



「ギュイィィィィィィ!!!!」



 一面緑の平原にけたたましい絶叫が響く。


 巨大な女王の体組織は魔法により大部分が消滅しており、その巨体の中心部に光る真紅の核が露出する。



「ゲイン様!今です!」


「あぁ!」



 その弱点を肉眼で確認した俺はリリーの合図と共に魔力を抜いた得物を真紅の結晶に突き刺す。



 燦然としていた核の光が消え、残っていたスライムクイーンの体が水となり溶ける。



「やりました!」


 リリーが声を上げて喜ぶ。


「ふぅ......」


 俺は突き刺した短剣を引き抜き、一息ついてから2人の方へと向かう。


「ありがとう、ソフィア、このナイフが無かったら勝てなかったよ」


 俺はまず勝利のためのチャンスを作ってくれた白髪の少女にお礼を述べる。


「ううん、ゲインの消滅魔法があったから勝てた、あの出力で放つことができたのはゲインの力......」


 ソフィアは軽く謙遜をする。


「ソフィア様のナイフと、ゲイン様の魔法、どちらも凄いということで良いのでは?」


 そんな二人を見たリリーが少し不満そうに割って入る。


「リリー?どうかしたの?」


「なんでもありません!」


 リリーの様子がおかしい......俺なんかしちゃったかな......と思っているとソフィアが少し目を細めて口を開く。


「リリー、妬いてる......?」


「なっ!?」


 リリーがソフィアの言葉に強く反応する。


「私とゲインが共同作業したから羨ましい......?」


「むー!むー!」


 ソフィアがニヤリと笑いながらリリーを煽っている、リリーも煽りに乗っかってしまっている。


「私だって次のクエストではゲイン様ときゃっきゃウフフの共同作業しますもん!」


「できるといいね......ふふっ......」


「もー!」


 二人が一人の男を巡る戦いをしている内に太陽が自分たちの真上に来ていることがわかった。


「二人ともそろそろ落ち着いて?ほら、街に戻ってご飯でも食べよう?」


 いまだに言い合っている二人をなだめて俺たちはペルシへの帰路につく。







 リャーナ平原でのクエストを終え、ペルシに戻った俺たちはまっすぐギルドに向かおうとしたが、流石に昼下がりのこの時間になるとお腹が空いてしまう。


「うーん、ねぇ二人とも」


「どうかしましたか?ゲイン様?」


「ギルドに行く前に先にご飯食べていかない?お腹空いちゃって......」


 リリーとソフィアに昼食を取る提案をする。


「いいですよ、私もちょうどお腹が空いてきましたので、ソフィア様はどうですか?」


「うん......私もお腹空いた......」


 二人も空腹だったようですんなり許可してくれた。


「じゃあ何処かに寄って行こうか」


 そう言って俺たちはペルシの大通りを歩きながら飲食店を探す。


 討伐クエストの後ということでよほどお腹が空いていたのか、ソフィアがウサギのような瞳でワイバーン肉専門店を指差してきたのでそこに寄ってみる。


「すみません、三人なんですけどいいですか?」


「はい!では、こちらの席へどうぞ!」


 獣人のウエイトレスに誘導され、少し広めのテーブル席に座る。


「ご注文はお決まりですか?」


「じゃあ俺はワイバーンのステーキで」


「私はハンバーグをお願いします!」


「私......ステーキで......」


 各々の食べたいものを注文し、出来上がるまで今日のクエストについて話し合う。


「本当にスライムクイーンが出てきたときはどうしようかと思いましたよぉ〜」


 リリーが平原での出来事を疲れ果てたように言う。


「うんうん、でも、なんとか勝てて良かったよ、本当」


 俺もスライムクイーンの再生能力を振り返りながら話す。


「でも、ソフィアのおかげで勝てたよありがとう」


 そして改めてソフィアにお礼を言う。


「う、うん......」


 ソフィアは照れ臭そうにそっぽを向きながら小さく言う。


「でも、本当にいいの?このナイフもらっちゃって」


 そう、あの戦いの後、ソフィアは俺にこのナイフをくれた。


「うん、そのナイフはゲインの手の形と戦闘スタイルに合わせて作ったから......」


「そっか......ありがとう、ソフィア」


 白髪の少女に優しく微笑み、お礼の言葉を述べる。


 そうしていると、俺たちが頼んだ食べ物が運ばれてくる。


「お待たせいたしました、こちら、ワイバーンのステーキがお二つ、ハンバーグがお一つでございます」


「ありがとうございます〜」


「では、ごゆっくりと」


 香ばしい香りを漂わせながら自分たちの目の前に置かれている物に我慢ができなかったのか、俺たちは一斉にその肉を味わう。


「すげ、このステーキやわらけぇ、本当にワイバーンの肉かこれ」


「ハンバーグも肉汁たっぷりでおいひぃれすぅ〜」


「はむはむ......」


 俺たちはとても美味いワイバーン料理に感動しつつじっくりとその肉を味わい、店を後にした。


「いやぁ〜、美味かったなぁ」


「はい!とても美味しいお肉でした!」


「美味しかった......」


 俺たちは美味い肉料理の余韻に浸りつつ、クエスト完了の報告をしにギルドへと歩みを進める。






 ギルドに着くと俺たちはいつも通りクエストカウンターへ向かう。


「すみません、クエスト完了の手続きをお願いしたいんですけど」


「かしこまりました、少々お待ちください」


 そう言って金髪のエルフの受付嬢、カペラは奥へ向かい、クエスト完了の手続きを進める。


 しばらくすると手続きを終えたカペラが戻ってきた。


「では、こちらが今回のクエストの報酬金となっております」


「ありがとうございます」


 報酬金を受け取り、俺たちはギルドを後にする。


 一度宿屋に戻ろうかと思っていた時、空から音がした。


「ゲイン様!危ない!」


 リリーの声ではっとした俺は素早く後ろへ下がる。


 凄い速度で何者かがが飛来して来た。


 着地したそいつが口を開く。


「やぁっと見つけたぞ、正義の光を持つ男とその仲間!」


「誰だ!」


 俺はそいつに質問を投げた、そいつは笑いながら答える。



「俺の名はレイズ、光を求め、邪魔なやつをぶっ潰すただの人間さ!」



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