表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消滅魔法で正義を翳す〜悪だと思う?正義はあるよ?〜  作者: 姫宮涼明
1章 出会いと光
2/18

冒険者ギルドと初めてのクエスト


 ドアを開けると多くの人がいるのが見えた、装いからしてやはり皆冒険者だろうか。


「お?あれは......獣人族(アニマーレ)!」


 この世界には、4つの種族がいる。


 まずは俺たちのようなヒューマン。


 獣のような耳と尻尾を持ち、優れた身体能力を誇る獣人族(アニマーレ)


 獣人にも様々な種族がいる、犬のような特徴を持つ犬人(キュオンロポス)、猫のような特徴を持つ猫人(シルヴェロポス)など、たくさんの獣人がいる。


 長い耳と高い知能を持ち、どの種族よりも魔法に精通しているエルフ。


 エルフは、王族とも呼ばれるハイエルフや、それぞれの森の中にある集落に住んでいるエルフ、人とまぐわったハーフエルフなどがいる。


 最後に、魔族だ。


 魔族と聞くと悪いイメージがあると思うが実はそうではない。


 魔族はエルフに勝るような魔法は使えないが、特筆すべきはその魔力だ。


 どの種族よりも高く、濃い魔力を持っている、魔力の扱いにも長けており、魔力を結晶化させ、武器に埋める鍛治技術や、濃縮させた魔力を液体化させ、口内摂取によって魔力を回復させる魔力ポーションの生産などの魔力技術に精通している。


 このように、それぞれの種族がそれぞれの得意としている技術を使い、助け合って生きている。


「っと、そろそろクエストの掲示板を見ないとな」


 ギルドにはクエスト掲示板がある、そこにはあらゆる人から依頼されたクエストが貼ってあり、それを持ってクエストカウンターに持っていけばクエスト受注となる。


「お手頃なクエストは〜、やっぱ薬草採取くらいか」


 クエストにもランクがある、最も簡単な物でEランク、難しい物でSランクなどがある。


 稀に世界を脅かすようなヤバい奴の討伐とかでSS〜SSSランクまであるらしいが本当に稀だ。


 俺みたいに旅を始めたばかりの奴が受けるものは大抵薬草採取や配達などのEランクから始まる。


「ふーむ......よし決めた、取り敢えずこのクエストにするか」


〜薬草採取の依頼〜

希望納品数・15個

納品数に応じて追加報酬あり


「えっと......クエストカウンターは......あそこか」


 俺はクエスト受注をするためにギルドの中心にあるクエストカウンターに向かう。


「すみません、このクエストを受けたいんですけど」


「薬草採取の依頼ですね、承りました、少々お待ちください」


「お待たせいたしました、こちらが街周辺の地図と、薬草が生えてる場所の一覧となっております、そちらは差し上げますのでこれからの冒険者活動に

活かしてください」


「はい!ありがとうございます!」


「では、いってらっしゃいませ」








「地図の通りならこの先のリャーナ平原に生えてるはずなんだけど......」


 ギルドを後にした俺は地図に従い、ペルシから歩いてすぐのリャーナ平原に向かっていた。


「この辺から弱いモンスターが出始めるらしいし、気を引き締めないとな」


 俺はポーチの中を確認した、母さんからもらったポーションやお金などを確認し、腰にある短剣に手を据える。


「よし、薬草探すぞー!」





「うお!?モンスターか!」


 ちょうど半分ほど薬草を集めた頃にモンスターと出会った。


 リトルボアだ、リトルボアは小さな猪のようなモンスターでこいつの肉は少し硬いがとても美味い、毛皮もそれなりの値段で買い取ってもらえる。


「丁度良いな、短剣の扱い方の確認もしたかったし、戦うか!」


 俺は腰の短剣を引き抜き、構える。


 リトルボアも臨戦状態へと移行したらしく、こちらを向いて息を荒げている。


 リトルボアの突進。


 馬にも引けを取らないその速度に驚愕しつつも俺は横にかわす、リトルボアの突進は速度がある分急な旋回ができない。


 大回りに旋回したリトルボアはさらに速度を上げてこちらに向かってくる。


 しかし、まだ子供のためか若干の疲弊が見えた。


 俺はその時を見逃さない。


 逆手に持った短剣をすれ違いざまにリトルボアの土手っ腹にお見舞いする。


 リトルボアの心臓部分である獣核の感触を確かめながら短剣を押し込む。


 鮮血と獣核の欠片がとび散り、小さな猪はうなだれる。


「よし!初戦闘勝利!」


 俺はリトルボアのドロップ品である「若猪の牙」と「小猪の毛皮」を専用ポーチに入れ、薬草探しを再開する。




 しばらくして、俺は目標納品数の薬草が集まったので、一度ペルシに帰ろうとした。


「ふぃ〜、こんなもんでいいかな」


 俺はいつのまにかリャーナ平原の奥のマルネ森まで来てしまっていた。


 この森はボア系等のモンスターが多い。


 ボア系のモンスターは普通、集団で行動するものが多いため、ソロで相手するのは部が悪い、そのため、初心者の冒険者がソロでマルネ森に行くことは危険とされている。


「確かこの辺りに舗装された道が見えるはず......」


 俺は地図通りに森を抜けようとした、そのとき、木に倒れ込んでいる少女が見えた。


 すぐにその子のもとに駆け寄り、生死の確認をする。


「まだ息はある......でも呼吸が小さい、それにこの血の量......一体何が......」


 そこまで考えて俺はポーチの中のポーションの存在を思い出す。


「取り敢えず怪我をしている部分に少しかけて様子を見るか......」


 俺は少女の痛々しい傷にポーションをかける。


 しばらくして、少女が目を覚ました。


「う、うぅ......、こ、ここ、は?」


「目を覚ました!よかった......大丈夫?君、すごい傷を負って気絶していたんだ、傷はポーションであらかた直って入ると思うけど......」


「あ、本当だ......、ありがとう、ございます......」


 少女はまだ意識がはっきりしていないのか、ボーッと俺を見つめる。


 改めて見ると、少女は漆黒のような鮮やかな長髪を持ち、紺碧の澄んだ瞳、色白でツヤがあり、きめ細かい肌が眩しい、俺は少し恥ずかしくなってしまった。


 そんなことを思っていると、少女の顔がみるみるうちに青ざめていく。


「あ、あぁ......奴が、奴が来る......」


 少女は震えだし、次第に震えが大きくなっていく。


「どうしたの?奴っていったい......っ!!」


 ここまで話して迫る気配に気づいた。


 先のリトルボアなんか比にならないほどの圧、殺気。


 とっさに少女抱えて飛び出す、幸い、森の出口付近だったため、すぐに開けた平原に出た。


 しかし、どうやら向こうは縄張りに迷いなんだ俺らを見逃してはくれないらしい。


 平原まで響く重い足音。


 森の奥より現れる巨大な影。


 ボア系の最大種、ボアロードだ。


「ボアロード!?マルネ森にいるなんて聞いたことないぞ!?」


 俺は驚きをあらわにする、おそらく3Mは超えているだろうその巨体に冷静になんてなってられない。


 抱き抱えている少女も震えている、守らなくては、このか弱い少女を、俺の手で。


 俺は短剣を引き抜き、構える。


 まるで要塞の如き巨体に、名工の打った槍よりも鋭利で頑丈な牙、全身に突き刺さる鋭い眼光。


 蛇に睨まれた蛙とはよく言ったものだとしみじみ感じる。


 動く要塞とも呼べるボアロードは威厳ある歩みを止めない、鳴り止まぬ地響き、轟く咆哮。


 刹那、ボアロードの突進。


 その巨体に似合わぬ速度、リトルボアよりも速いその突進を俺は紙一重で回避する。


 体が吹き飛びそうなほどの風圧、こちらを向き直るボアロード、俺は震えた、ひとしきり震えて呼吸を整えた。


 俺は再び突進してくるボアロードに向かって走った、己の得物を逆手に構え、吹き飛ばされるすんでのところで俺は飛び上がり、ボアロードの背中に飛び乗る。


「せいっっっ!」


 俺は巨大な猪の背中に得物を差し込む、鮮血が飛ぶ、でも足りない、足りないのだ、この巨体の中にある獣核を短剣で捉えられるわけがない。


 そこで俺が起こした行動は一つ。


消滅魔法(ラディーレンルーク)!!!!」


 紫紺の輝き、左手に描かれる魔法陣、消滅する要塞の表皮。


「この調子なら後2回打ち込めば!」


 俺は再び消滅魔法を打ち込む、猛る要塞、轟く咆哮、俺は振り落とされぬように最後の魔法を打ち込む。


 そして、見え始めた獣核に短剣を刺し、押し込む、疲弊した体に残っている力をかき集め、精一杯の一撃をお見舞いする。


 要塞、崩落。



 


第二話!いかがでしたか?

この調子で続きを出して行きますので、感想など頂けるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ