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消滅魔法で正義を翳す〜悪だと思う?正義はあるよ?〜  作者: 姫宮涼明
蒼海都市と鳴動する洞穴
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海辺の朝とクエスト受注


 部屋の窓から差し込む出てきて間もない朝日がゲイン達の眠りを浅くする。


 ゲインは水に沈んでいた意識を救い上げるようにゆっくりと起き上がり、ベッドから出る。



「朝か......」



 まだ意識がはっきりとしてない状態でぼそりと呟く。


 朝日をぼうっと眺めて数分ほど経ち、まだ眠っている二人の少女の方を向いてから立ち上がる。


 徐々に頭が働き始めたので洗面台に向かい顔を洗う、冷たい水がぼやけた顔を強く叩く。


 顔を洗ってから再び部屋へと戻るとリリーが起きていた。



「おはようございます......ゲインさまぁ......」



「うん、おはようリリー」



 ゲインは眠そうに目を擦りながらぼんやりとした口調で挨拶をするリリーに優しく返す


 朝の挨拶を済ませたリリーは小さく欠伸をしてからゆっくりと洗面台へと向かう。


 パシャパシャと水の音が部屋まで響いて聞こえる、その音で布団にくるまっているソフィアが動きだす。



「ん......もう朝......?」



「朝だよソフィア、そろそろ起きよう?」



「もう少し、だけ......」



 そう言ってソフィアは再び布団にくるまり、小さな寝息を立てる。


 それから少ししてリリーが戻ってくる、顔を洗って目が覚めたのか先ほどよりも軽い足取りでこちらへ歩んでくる。



「ソフィア様はまだ寝てらっしゃるのですか」



「うん、さっき起きたけどまた寝ちゃった」



 リリーはまだ眠りについているソフィアの方へ行き、ソフィアの体を揺さぶる。



「ソフィア様!起きてください!」



「ん、んぅ......あとちょっとだけ......」



「ダメです!そろそろ起きないと置いていってしまいますよ!」



「わかったよ......」



 リリーに起こされたソフィアは渋々布団から体を出し、重い足取りで顔を洗いに行く。


 それを見届けたリリーはソファに座っているゲインの隣に座り、口を開く。



「ゲイン様、今日の予定はどうしましょう?」



「そうだね......とりあえず海の近くにある洞窟でのクエストを受けてみようと思ってるんだけど、どうかな?」



 ゲインの中での今日の予定をリリーに告げると、リリーは笑顔で答える。



「はい!そうしましょう!」



 リリーの声が響いたのと同時に顔を洗い終えたソフィアがまだ少し眠そうにして歩いてくる。



「おはようソフィア、今日は寝坊助さんだね?」



「もともと......朝は、あんまり強くない......」



 そんな会話を交わしたあと、各々の準備を済ませ、海辺のギルドへと向かう。








 ギルドに着いたゲイン達はクエスト掲示板を覗き込む、貼ってあるクエストはペルシとは違うものが多い、やはり海が近いというのもあり海底や沖合にある島の探索などがある。



「う〜む、洞窟関連でなにかないかな......」



 掲示板の前で貼ってあるクエストを眺めているとリリーがこちらに駆け寄ってくる。



「ゲイン様!これはどうでしょう?」



 そう言ってリリーが持ってきたクエストは浜辺から少し遠いところにあるズッロ洞穴での討伐クエストだ。



「ズッロ洞穴のヴァダーサーペント十体の討伐......」



 ヴァダーサーペント、サーペント種では小型のもので主に水際の洞窟内に生息すると言われている。



「三人いますしこのくらいなら妥当かと」



「そうだね......よし、じゃあ手続きしてくるよ」



「はい!」



 そう言ってゲインはクエストの紙を持って受付へと向かう。



「すみません、カペラさんいますか?」



「貴方は......ゲイン様ですね、少々お待ちください」



 そう言って受付嬢が奥へと消える、少しして奥の方から金髪のエルフ、カペラやってくる。



「おはようございます、クエストの手続きですか?」



「はい、これなんですけど......」



 そう言ってゲインは持っていたクエストの紙をカペラに渡す。



「ヴァダーサーペントの討伐ですね、では手続きをして参りますので少々お待ち下さい」



「わかりました」



 カペラが奥でクエスト受注の手続きを行う、ゲインはその様子を少し眺めてから離れたところで座っているリリーとソフィアの方へ目線を向ける。


 二人の少女は楽しそうに話をしている、こちらの視線に気づいたリリーが手を振る、隣にいるソフィアも小さく手を振ってくる、ゲインも小さめに手を振り返す。


 そのやり取りの後カペラがクエスト受注の手続きを終えて戻ってくる。



「お待たせしました、こちらが周辺の地図となっておりますのでお役立てください」



「ありがとうございます!」



「あ、あと」



 そう言うとカペラがゲインの耳元で囁く。



「ヴェレーノサーペントで死にかけたんだから気をつけてね?リリーちゃんとソフィアちゃんを泣かせたら許さないからね?」



「わ、わかってます!いってきます!」



「はい、いってらっしゃいませ!」



 カペラの忠告を受けたゲインは気を引き締めてリリーとソフィアの元へと戻る。



「二人ともお待たせ、行こっか?」



「はい!」



「うん......」



 二人の少女が立ち上がり、ゲインを挟んで横並びで歩みを進め、ギルドを出る。

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