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消滅魔法で正義を翳す〜悪だと思う?正義はあるよ?〜  作者: 姫宮涼明
蒼海都市と鳴動する洞穴
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海のギルドと見慣れた顔


 ポルトのギルドは海辺にあり、全体的に青い装飾が施されている。


 潮風が体を吹き抜けてゲイン達の後ろへと流れる、ペルシでは感じることのできなかった風を浴びながらギルドの扉を開ける。



「わぁ〜!海が見えます!」



 ギルド内を見渡すリリーが目を輝かせて言う。


 このギルドは奥側が吹き抜けになっており、海底でのクエストを行う際、ギルドが所持している亀の姿をした魔物、タルーガの背に乗って行く。


 ゲイン達はひとしきりギルド内を見てからカウンターへと向かい、この町での冒険者登録を済ませる。


 この世界は各町ごとに一度、冒険者登録を行わなければいけない、なんでも、治安維持のためだそう、また、ランクアップなどの偉業はきちんと引き継がれる。



「えっと......空いてるカウンターは......あっちか」



 賑わう人々を避けながらカウンターへと向かい、手続きを行う。



「すみません、この町での冒険者登録を行いたいのですが」



「冒険者登録ですね、かしこまりました、では、お名前をお願いします」



「はい、ゲイン・フラウスです」



「ゲイン様......少々お待ちください」



 受付嬢は少し考え込んでから裏へと回る。


 ゲインは疑問を持ちつつ、言われた通りに待っていると、奥から見覚えのある金髪のエルフが現れた、カペラだ。



「カペラさん!?なんでここに!?」



「つい先程到着して、今しがた異動手続きが終わったところです」



「は、はぁ......じゃなくて!なんでわざわざ?」



 ゲインはカペラの淡々とした説明に頷いてから首を振り改めてここにいる理由を聞く。



「ゲイン様達がペルシを出た後、勝手ながら私がゲイン様達の専属サポーターになるように手続きをさせていただきました」



「なるほど......だから俺たちの向かうところを聞いてきたのか......」



「はい、迷惑でしたか?」



「いや!むしろ頼もしいです!よろしくお願いします!」



 専属サポーターとなったカペラにお礼の言葉を述べたゲインは、一度カウンターから離れてクエスト掲示板へと向かう。



「取り敢えずどんなクエストがあるかは見ておかないとね」



「はい!」



「うん......」



 ゲインの言葉に続いてリリーとソフィアが言葉を返す。





 掲示板を見てみると、海底洞窟の探索や、海辺にある洞窟での採集、討伐のクエストが多い。



「洞窟での依頼が多いみたいだね......」



「そうですね、おそらくこの町で出回っている宝石などもその洞窟で取られているのでしょうね」



 ゲインとリリーが掲示板を眺めながら話していると、ソフィアがゲインの服を引っ張る。



「宿、探したほうがいいんじゃない......?」



「そういえば......忘れてた......ありがとうソフィア!」



 ソフィアのお陰でまだ宿を取っていないことを思い出し、ゲイン達はギルドを後にする。


 時間はまだ夕方に差し掛かったあたり、陽が完全に落ちていないため周囲はまだまだ明るい。


 なるべくギルドに近い宿を探し、ギルドから歩いてすぐのところにある少し大きめの宿に入る。



「すみません、三人で大部屋一つ、当分止まりたいんですけど......」



「かしこまりました、装備からして、冒険者様ですね?」



 ゲイン達の服装を見た受付が尋ねる。



「あ、はいそうです」



「でしたら、冒険者専用料金を払っていただければ更新料は取りません」



「あ、はい!わかりました」



 ゲインは宿の手続きを済ませ、部屋へと向かう。


 場所は六階、海を高い場所から見ることのできるなかなか景色のいい場所だ。



「ゲイン様、ついに分けて部屋を借りることを諦めましたね?」



「そういえば、大部屋って言ってた、ね......」



「あはは......なんか、もう、いいかなって......」



 リリーとソフィアに悪戯っぽい笑みで茶化されたゲインは乾いた笑みで返す。


 部屋に着くとまず荷物の整理を行い、各々のベッドの場所を決め、少しまったりとする。



「ふぅ〜......やっぱ馬車は疲れるなぁ......」



 ベッドに突っ伏したゲインが息を漏らす。



「そうですね......」



「でも、私とリリー、寝てただけ......」



 ゲインに同意したリリーを茶化すようにソフィアが言う。



「それは言わない約束です!」



 ソフィアの言葉をかき消すようにリリーが言う。


 ゲインはそんな二人を笑顔で眺めてから立ち上がる。



「そろそろご飯食べに行こうか、お腹すいたでしょ?」



「はい!お昼からなにも食べていないので......」



「お腹、空いた......」



 リリーとソフィアがお腹をさすりながら言う。



「じゃあ街路に出てみようか、なにかしらあるかもだし」



「はい!」



「うん......!」



 そう言ってゲイン達は宿を出て街路へと向かう。

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