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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
第二章 神速と包囲
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二章 第二十四話 首都アラン

 アランは大きな塀、10メートルほどの高さの塀に囲まれた都市だ。

 クロノオの塀はせいぜい3メートルほどだと言うことを考えると、かなりの大きさだ。


 そして、塀に囲まれた都市に入るには、門番による厳しいチェックをくぐりぬけることがが必要だ。

 塀の各所に設置されている門で、それは行われる。

 

 門を潜る時、武装は解除させられ、綿密なボディチェックが行われる。

 それなりの身分を保障するものを持っていないと、通してもらえない。

 他にも、酒に酔っているものの入国は禁止するなどと言った、厳しいルールもある。

 ドルトバはまず間違いなく、この都市に入ることはできないだろう。


 そして無理やり中に入ろうとしたり、万が一中に入れて悪事を働こうとしても、この国の聖騎士と呼ばれる人々によってすぐに拘束される。

 聖騎士というのは、ヨルデモンドお抱えの兵たちであり、一人一人の戦闘力は馬鹿にならない。


 ちなみにこの世界には、強さを表す指標があるらしい。

 ヨルデモンドがこの指標を作ったらしいが、段階的にはSSS、SS、S、A、B、C、D、Eと分かれている。

 どうやらこの世界では天人が結託して魔人を滅ぼそうという戦争が、100年に一度あるらしいので、その時に役に立つよう、ザガルの先代の先代あたりが作ったとか。

 まあその話は今はどうでも良いが、重要なのは聖騎士の強さだ。


 この区分けの指標は、一般人レベルがE、武を嗜んだ程度のものがD、それなりに戦えるのがC、国中に名が知られるレベルの猛者がB、各国に名が知られるレベルはA、そして化け物がS、SS、SSSと、メカルから聞いたのだ。

 そして、聖騎士は一人一人がBに相当する力を持っているんだとか。

 国中に名が知られるレベルの猛者が1万人。

 そして、それらの騎士たちが街中をうろついて警備をしている。


 もちろん悪事などほとんど起こりようがないのだ。

 そして、その点で様々な商人などに信頼され、発展してきた。


 そして肝心の門番による検査なのだが、グランベルの顔パスですぐに通された。

 歩兵隊や騎馬隊は武装を全て解除されたが、大した検査もせずに入ることができた。

 これも全て、ザガルのグランベルに対する信頼だろう。


 検査も無事終えて、俺たちはようやく塀の中に入る。

 首都アラン、その光景は…


 歓声。

 

 たくさんの人々が俺たちに向かって歓声を浴びせているのがわかる。

 大人から子供、老人、男女問わず、百姓から商人、貴族まで、俺たちを快く迎えてくれた。

 その人々の中を、馬車は進む。

 

「大統領のパレードみたいだな。」


 花道を馬車に乗って進むのは、少し恥ずかしい。

 だが見ると、グランベルは堂々と皆に手を振っていた。

 俺もああした方がいいのかな。


 そう思って馬車から身を乗り出そうとすると、ユソリナに


「あれはグランベル様向けの歓声です。ヒムラ様が手を振ってもしらけるだけですからやめてください。」


 と注意された。

 あ、グランベル向けだったのね。


 俺は観衆を見渡して、なんとも言えない気分になる。

 まあ確かにヨルデモンドとクロノオの友好の式なのだし、国の代表、つまり国王が式の主役なのだから。

 

 俺たちはそのまま街道を一直線に進む。

 真っ直ぐ進んだ先には王城がある。

 美しい湖に囲まれたその王城は、この世のものとは思えないほど美しかった。


 湖にかけられた橋、王城への道を馬車は走る。

 そして橋の先にはある集団が待ち構えていた。


「あれは…。」


 メカルがそれをみて、怯えたような声を出す。

 その先に待ち構えるのは、


「よくきたな、グランベル。ヨルデモンド一同、歓迎しよう。」


 ザガル・クリスタル。

 純白の鎧を着て、大きな体でこちらを待ち構える。

 

 周りには、おそらくはこの国の幹部のような人なのだろう。

 ザガルと並んで、こちらを迎え入れる。

 そして、


「一同、敬礼!!」


 ある男が命令を飛ばす。

 その先には、ザガルと同じく純白の鎧をつけた人々が道に沿ってずらっと並んでいて、


「「「ハッ!!」」」


 一斉に声を上げると、その場で跪いた。

 これは驚いた。

 このような一糸乱れぬ軍隊を目にするとは。


 俺が目を見開いているのをザガルが見て、


「驚いたかヒムラよ。これが我が国随一の聖騎士団、「白竜の剣」だ!!」




 俺たちは王城に案内される。

 湖に囲まれた王城の中身も煌びやかで、いかにヨルデモンドがお金を持っているかがわかる。

 俺たちは聖騎士、「白竜の剣」の団長であるクラリス・レートクリスという人物の案内で、王城の式場まで案内されていた。

 クラリスは10代後半であるにもかかわらずその資質を買われて「白竜の剣」の団長という立場になった者だ。

 白金色の髪を短く切りそろえ、真っ白な鎧に身を包んだ彼は輝いて見える。


「ほう、ではシネマを下したのはヒムラなのか。」


「ああ、そうだが。」


 クラリスの質問に俺は答える。


 クラリスは戦争時には将軍という立場についており、たまにザガルに代わって軍の指揮権を持ったりするので、戦略などに関しての話が合うのだ。

 本人の性格が柔和なのもあり、かなり話しやすそうな相手だ。


 だがその性格とは裏腹に、団長と呼ばれるだけの武力と資質を持っているのだ。

 「白竜」の二つ名を持つのは、果たしてその姿からか、団長だからか、それともその強さからか。

 竜のように流れる動きと、噛みつくかのような重い一撃を繰り出す戦法を得意とし、強さA相当と言われている。

 正真正銘のヨルデモンドの「剣」なのだ。


「ほう、陽動と敵の思考操作か。なかなか素晴らしい。」


 俺のシネマ戦のあらましを聞いたクラリスは、感心したように肯く。

 言葉の印象は硬いが、雰囲気は柔和そのものだ。


「クラリスさんはどういう戦い方が好みなんだ?」


「俺か?俺はやはり正面から攻めるやり方だ。「白竜の剣」は個々の能力が優れている代わり、数は少ない。囮をばら撒いて兵力を分散させ、残る主戦力で各個撃破がやり口だな。」


 なるほど。

 俺たちも見習う部分があるかもしれない。

 だけど、


「いいのか?そんな自国の戦術をあっさり教えて。」


「もちろん危険さ。だけど、これもこの式の友好の証ということで。」


 そう言って、柔和に微笑むクラリス。


「クロノオだって最近兵団を作ったというじゃないか。参考にしてみてくれたまえ。」


「それは、ありがとう。」


 俺は思わず感謝の言葉を述べる。

 

 もしかしたらヨルデモンドにも、心強い味方ができたのかもしれないな。

 クラリスにそう感謝する。


 そして、俺たちは着いた。

 王城の真ん中にある大きな広間。

 クロノオとヨルデモンドの友好宣言をする場所。


 そしてそこには、


「なっ!」


 俺は驚きのあまり声が出てしまった。

 向かって正面にはグランベルとマーチ、そしてザガルが何やら話をしている。

 そして左側の壁にはおそらくヨルデモンドの重役だと思われる人と、メカルユソリナが座っている。

 

 そして、


「ペレさんさあ、なんで僕たちがこんな場違あいな所にいるのさあ。」


「こらこらグルーム。立ち上がって騒ぐな。」


 長身のヘラヘラした男と、背丈の低いキリッとした青年。

 そして彼らの上には


『ファントム御一行』


 と書かれた紙がある。

 

 そしてその他にも、


「私は早く帰って執務を全うしなければ」


「そんなことは良いのだパラモンド。今宵は存分に酒を飲むが良い。」


『シネマ御一行』


「…」


「我らエレメントの神を待たせるとは…。」


『エレメント御一行』


 全ての国家を合わせて計五カ国。

 様々な国の代表が呼び出されていたのだった。


 

 


 

 


全員集合です。

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