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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
第二章 神速と包囲
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二章 第四話 軍事会議〜制度変更〜1

「さて、今回諸君に集まって頂いたのは他でもない。クロノオの徴兵制の見直しについてだ。」


 俺はみんなにそう伝える。

 ここ、軍事棟の中にある会議室で、軍部の九人は集まっていた。


 コの字型の机の中央に俺。

 その横にメカルとアカマル。

 左には近い方から順にユーバ、ドルトバ、テルル。

 右にはロイ、レイ、ユソリナと続く。


「では、アカマル!志願兵の状況について報告を。」


「ハッ。」


 そう言うとアカマルは立ち上がり、報告を始める。


「今回ヒムラ様の命により、俺、ユーバ、ドルトバ、テルルで志願兵の調査を行った。」


 そう、俺は一ヶ月前くらいから、暇を持て余している将軍&各部隊隊長に、各村村に行って兵士として働きたい人々の調査を行ったのだ。


 というか、こいつらに暇させるとロクな事が起こらない。

 この前、軍事棟の近くで毎日雷が落ちて、さらには火の粉が上がっているとの報告を受けたので、渋々その場所に来てみたら、ユーバとアカマルが決闘をしていたのだ。

 脇にはテルルが居て、いつ怪我しても大丈夫なようについてきたらしい。

 ユーバはかっこいい技名を叫び、雷の攻撃を仕掛ける。

 アカマルはそれを颯爽と避けて、炎を纏った剣をユーバに向けて振り下ろす。

 テルルも二人を止める気はさらさらなく、というか応援までしてる始末。

 正直見ていて楽しいものだったが、周囲への被害が甚大だ。

 

 もちろん説教タイムである。

 そして俺はついでに、仕事を頼んだってわけだ。


 ユーバが立ち上がり、報告する。


「僕は歩兵隊の調査に行ったんだけど、多分1500人くらいの人たちが歩兵に志願したいって言ってたよ。」


「ユーバ、正確な数字は?」


 アカマルが水を差すと、ユーバが


「アカマルさんは細かいよー。」


 と愚痴る。


「こう言う時は流石に正確に報告しろ。ユーバ。でないと、綻びが生じる。精進しろ。」


 とすました顔でアカマルが言う。

 というか、いつの間に仲良くなったの?


 ユーバは仕切り直して言う。


「1467人の歩兵隊の志願兵が集まったよ。で、村でも騎馬隊に入りたいと思ってる人や、魔法使いになりたい男の人もいたよ。」


 と報告する。

 

「なるほど、騎馬隊に入りたい人や魔法学校を志願する男性の受け入れは教育を施してからの話だ。とりあえず、1467人の歩兵が集まりそうだと言う事だ。」


 俺がまとめると、メカルが手を上げる。


「なんだ。メカル。」


「ハッ!恐れながら申し上げますと、志願兵の受け入れについての経済的な状況は如何程でありますか?」


「いい質問だ。」


 今回志願する兵たちには、軍部の近くの使われていない建物を宿泊棟として住んでもらう。

 そして、武器も飯も給料も全て国が支払うことになっている。

 これは、兵たちの練度を高めるためには必須のことなのである。

 徴兵して訓練を行うのは手間がかかるし質も落ちる。

 

 だが、金がかかるのは事実だ。

 メカルはおそらくそのことについて聞いているのだろう。


 だが…。


「シネマから奪い取った賠償金が金貨百枚。それの約半分を軍部がもらうことになった。そしてそれを使えば最低限の武器は調達できるだろう。」


 と言ったが、まだまだ足りないのが現状だ。

 しかし、ユソリナが発言をする。


「塩の輸出に関しても、製造業者とシネマ国の間に軍部が入ることで、差額の利益が出ています。それはおよそ金貨百枚程。しかし、今後もっと増えることでしょう。」


 そう、シネマ国との貿易や塩の一件から軍部は貿易や食についても担当することになった。

 そこらへんの仕事はユソリナやメカルに任せっきりであるので、二人は忙しいのだ。

 そろそろ人員を増やすべきなのかもしれない。

 

 まあそのことは置いといて、貿易の利益も莫大なものとなっていた。

 貿易を始めて少ししかしていないのに、利益は金貨百枚だ。

 味のある塩を求めた各国の商人が寄ってたかってクロノオの塩を買い出したのだ。

 塩というものはそれほど貴重なものとなったのだ。

 最も、クロノオが製造方法を独占しているというのもあるが…。


 俺は立ち上がって発言をする。


「このように、貿易の利益を利用すれば、兵の食事や給料も期待できるだろう。だから、お金に関してはなんの問題もない。」


 これでとりあえず、歩兵隊に関しては終わりかな。


「じゃあ、次にドルトバ。」


 アカマルが指名すると、


「わかったわかった。俺の調査結果を報告するぜ。」


 と立ち上がるドルトバ。


「俺は騎馬隊の志願兵の数についてしらべた。そしてその中で教育が必要な奴と即戦力になりそうな奴の数も調査したぜ。」


 と言う。

 結構しっかり調べたではないか。


 だが、ドルトバも放置しておくと厄介な人物なのだ。

 すぐに酒を飲みだし、夜遅くに大声で叫びながら軍部に帰ってくるのだ。

 迷惑極まりない人物なのである。


 そんなドルトバがこうやってしっかり仕事をしているのを見ると、なんか感慨深いものを感じるなあ。


「騎馬隊として即戦力になる者は139名。そして教育が必要な者は約300人。」


「300人!?」


 多いな、それは。

 メカルの見立てでは200人だったはずだ。

 教育が終了すれば、常備兵として500人程騎馬に当てる事ができる。

 それでも、なぜそんなに?


「どうやら、武功を立てたい者や騎馬隊として活躍したい者が集まった様子だぜ。」


 なるほどな。

 確かに功績の立てにくい歩兵隊とは違い、騎馬隊は活躍しやすく、武功を立てやすい。

 ということは、逆に武功を立てさせれば兵はやる気を出すというわけか。


 メカルもその可能性に思い至ったのか、意見を出す。


「武功を立てやすくする。つまり階級制度を設けて兵の競争心を煽るというわけですな。」


 しかし、ロイが珍しく反対する。


「しかし、それでは功を焦って兵士が指示以外の行動をしてしまう可能性が出る。」


 確かに。

 この制度のせいで命令に背くようになるとまずい。

 沢山の首を取ろうと躍起になるのは間違いではないが、それにより軍として機能しなくなるのは良くない。

 ロイらしい冷静な意見だ。


「それなら、命令に背くと厳しい罰則が下されるというのはどうだ。」


 アカマルが提案する。

 俺は疑問に思って、


「どんな罰則を用意するんだ?」


 と聞くと、アカマルはなんでもないように


「もちろん鞭打ちとか…。」


「いやいや、兵士やめる人が続出するわ!」


 危ないのでなしなし!

 というか、そんな恐怖の感情で縛ると兵士の不満が溜まり、いつか暴動が起こる。


「まあ、階級制度を設けたとして、その階級を一番下まで下げる罰とかでいいんじゃね?」


「それがいいでしょう。」


 俺の意見にメカルが賛同する。

 ドルトバは皆の意見を聞き、


「では、騎馬隊では139名の兵を即時投入。階級制度を設ける。では教育が必要な300人はどう致しますか?」


 という。

 

「教育機関を設ければいいんじゃないの?魔法学校みたいに。」


 とテルルがいうが、


「教育機関を立てるだけでも様々な費用がかかります。今すぐにというわけにはいかないでしょう。」


 とユソリナが反論する。

 まあ、教育機関ができるまで待てばいいと言う話だが、時期は早めるに越したことはないし、あまり先延ばしにすると兵士の不満も募るだろう。

 兵士になった者の大半の目的は、主に給料である。

 武功を立てたいという考えも、突き詰めれば給料が上がるのを望んでいるわけだ。

 その給料をもらえる時期が先延ばしになればなるほど、不満が募るのは当然だ。

 

「なら、教育機関設立までの間、ドルトバ殿と腕の立つ志願兵が直々に教育すれば良いのでは?」


 とロイが言う。

 確かにそれはいい案だ。

 ただ…。


「えーっ!めんどくせぇったらねーぜ。俺は人に教えんの苦手なんだよ。」


 と不平をあらわにするドルトバ。

 自分がやるとなると早速嫌がり出す。

 というか、周りが年下ばかりだからと言って精神年齢が退化してないか。


「よろしく頼んだぞ!ドルトバ。どうせ暇だろう?」


「でも………………くそっ。やりますよ。その代わり、酒を勤務中にも飲ませてくれよー。」


 と愚痴るドルトバだが、酒を飲ませるわけにはいかないのだ。

 軍部の規律として。


 さて、俺はテルルに目線を向ける。


「じゃあ、お前の番だぞ。」


「言われなくてもわかってるわよ。」


 文句を言いながら立ち上がるテルル。

 次は魔導隊についての報告だ。

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