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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
第一章 転生と軍師
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一章 間幕 天使会議1

間話1です。

 クロノオから真っ直ぐ南下していくと、一つの都市にたどり着く。


 そこは天使国家ノクアレン。

 謙譲の天使ノクアシスが治める国である。


 この国の民は皆ノクアシスを崇める宗教に入っているという、宗教国家だ。

 全員が天使ノクアシスを敬愛し、畏怖している。


 その天使国家ノクアレン。

 その中心にある白い厳格な雰囲気を漂わせるお城で、天使会議が行われていた。

 着席者は6名。

 一つ空席があるが、わざと誘わなかったのだ。


 その議長席に座っているのが、まさに謙譲の天使ノクアシスである。

 穏やかな顔立ちと白銀の髪の毛、そしてその長身が彼の柔和さを物語るが、実はノクアシスは最古の天使であり、天使最強の名を欲しいままにしている。


 ノクアシスは一つため息をつくと、


「今日も節制を誘わないのかね。」


「ええ、彼はそろそろ代替わり。不要な人材だわ。」


 そう答えるのは救恤の天使テゥオシアである。

 長い輝く緑色の髪を持ち、妖美な雰囲気を漂わせる天使である。

 テュオシアは用意された最高級のワインを飲むと、顔を火照らせて、


「もう芽は花を咲かせたもの。」


「…それは本当か。」


 忍耐の天使ノムが尋ね返す。

 ノムは大きな巨体を持つ男であり、その筋肉量で右に出る者はいない。

 しかし何よりも重要なことは、彼は滅多なことで喋らないということだ。


「あら、あなたが喋るなんて何百年ぶりかしら。」


 テゥオシアが笑いながら返す。

 ノムはそれっきり黙ったままだったが、目には確かに驚きが含まれている。

 それを読み取って、テゥオシアが言う。


「…確かに『神速の加護(ゴットアクセル)』は土壌がしっかりしていないと生まれない。でも、言ったでしょう。私は彼の土壌ならいけると踏んだの。いけるに決まってるじゃない。」


「それは間違いだテゥオシア。彼の土壌を私の加護が計測したところ、成功率は五分五分と言ってよかった。それに『神速の加護(ゴットアクセル)」を植え付けるとなると結果は23.4%と低い結果になっていただろう。それに他の一般的な天人に加護を植え付けた場合の確率を…。」


「もういいよ。フォールン。ハナビ、聞き飽きた。」


 フォールンのうんちくをバッサリ切ったのが、慈悲の天使ハナビである。

 フォールンは勤勉の天使として名を轟かせている。

 大きな眼鏡とスーツがトレードマークの天使であるが、驚くべきはその演算力である。

 確率演算に特化した加護を持つ、厄介な天使である。

 対してハナビは赤い髪をした女の子である。

 一見無邪気な子供に見えるが、怒り狂ったときには熱を自由自在に操る凶暴な殺人鬼となってしまう。

 

「私はこんな会議やめて遊びたいの!」


「ほらほら、暴れないでくださいね。あなたの力を持ってすれば僕のこの城は焼け落ちてしまいますよ。」


 ハナビの駄々を、ノクアシスが宥める。

 ハナビの加護を使えば、この城どころか、この世界を焼き切ることすらできてしまう。

 まあ、本当にそうなるのならば、天使総出で止めに行かなければならないが。


「流石にノクアシスの城は焼かない。ハナビ、大人になったの!」


「そうですね。」


 ノクアシスがにっこり微笑んで、改めて皆を見渡す。


「今回集まってもらったのは他でもなく、クロノオの軍師ヒムラについてだ。」


 そして、今までのヒムラの経歴をざっと話し始めるのだった。




「…ふーん、つまり、そのヒムラとやらにコルガを倒させるってわけか。」


 今まで黙って聞いていた純潔の天使メタルヴァイジャンが呟く。

 メタルヴァイジャンは長髪の男であり、整った顔立ちをした天使であり、常にポーカーフェイスを保っている。

 それを聞いてノクアシスは笑うと、


「その通りだよ。天使最弱のコルガはきっと天魔大戦でも生き残れない。僕たちがその前に優しく殺してあげようってことさ。」


「ひどい話だわ。」


 テゥオシアが嫌な顔をするが、その目は笑っていた。

 ノクアシスが続ける。


「ただ、懸念すべきことがあって、それは…。」


「それは…?」


 ハナビが興味深そうに聞いてくる。

 

「ヒムラの心には悪意も混じってるってことだよ。」


「…は?」


 フォールンが驚きの声を上げる。

 皆驚いていた。

 テゥオシアが立ち上がり、


「ノクアシスの言うことは本当よ。私の加護でヒムラを見てみたら、悪意と善意が入り混じっていた。」


「それって!」


 ハナビが驚きのあまり言葉を失う。

 ノクアシスが言う。


「そう、あの方々と同じだ。」


「じゃあ、ヒムラは人間だと言うのか!?」


 フォールンが信じられないと言うふうに叫ぶ。

 なぜなら、この世界では「あの方々」を除いて善意と悪意を両方持つ者は存在しない。

 この世界のイレギュラー。

 それがヒムラなのだ。


「…確かにあの方と同じというのは驚きだが、もっと注意すべきことがある。」


 ノクアシスが神妙な目で皆を見る。

 テゥオシアが引き継ぐ。


「悪意を持っているということは魔人にも、果てには悪魔にもなりうる。悪魔たちが目をつけないはずがないということだわ。」


「…なるほど。理論上では悪意が三割ほど混じっていれば、悪魔にもなりうる。つまりあちら側にヒムラを取られるということにもなりますね。」


 フォールンが言う。

 ノクアシスが続ける。


「その通りだよ。だが、僕たちの目的のためにヒムラはなんとしてもこっちのものだ。これからもテゥオシアが徹底的な監視を行い、最悪の場合実力行使も止むを得ない。どうだろうか?」


 ノクアシスが同意を求める。


「まあ、いいんじゃないの。」とテゥオシア。

「なんか楽しそーになったな!」とハナビ。

「勝手にしろ。」とメタルヴァイジャン。

「…。」頷くノム。

「私の役目は…。」とフォールン。


 全会一致と見て、ノクアシスは立ち上がる。


「これにて、天使会議を終わらせる。各自戻ろう。」


 そういう傍で、ノクアシスは考えていた。

 ヒムラ…か。

 その頭脳だけで格上の国を負かした軍師。

 面白くなってきたなと、ノクアシスは一人笑うのだった。

今既出のキャラクターの強さランキングでは


天使7人


ー越えられない壁ー


1、レイ

2、ユーバ、アカマル

3、マルベリー、セキじい

4、その他


と言う感じでしょうか。

テルルは条件が揃えば強いです。

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