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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
第一章 転生と軍師
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一章 第二十五話 神速の加護

今日は二話投稿しました。

これは二話目です。

まだ1話目をご覧になってない方はそちらも是非読んでください。


 俺は歩いていた。

 

 目の前にはやはり噴火している火山と、幻想的な山々が連なる山脈を背景とした草原が横たわっている。

 よく見ると遥か先では浮いてる島が見える。

 よくファンタジーの世界にある、半球状の島である。

 

 本当にとんでもない世界に転生したものだ、とつくづく感じる。

 戦争ばっかの異世界ってどうなの?

 俺は異世界転生したら冒険するぞと心に誓っていたのだが…。

 何故か軍師という役職になってしまった。


 まあ、俺の前世の知識も使えるからいいんだけどね。

 

 それから俺は、軍部のみんなのことを思い出した。


 イケメンだけど抜けてるところがあるアカマル。

 天真爛漫なユーバ。

 気前のいいおっちゃん感を出してるドルトバ。

 反抗期だけど優しい時は優しいテルル。

 冷静沈着毒舌のロイと天然のレイ。

 歩く辞書であるメカル。

 最初はへり下り気味だったが最近直ってきたユソリナ。


 なんとも個性的なメンバーがあつまったな。

 だが、この一ヶ月ほどで俺はみんなが気に入っていた。

 

 これから先、戦争はやはりたくさん起こるのだろう。

 そのたびに力を合わせることのできる仲間がいて、俺は幸せだと思う。

 

 さて、そろそろ見えてきた頃だ。

 俺の正面には、既に誰もいないであろう村の廃墟がある。


 ここで終わらせるのだ。

 俺の戦いを。




 村に足を踏み入れて、最初に向かったのは避難所の方向だ。

 おそらく戦争が終わってから誰も入っていないであろう場所へ、足を踏み入れる。


 直後、強烈な匂いがした。

 おそらくそれは、俺の足元にある無数の死体から発せられたものなのだろう。

 二ヶ月ほどこの避難所に放置されてい他のだから、腐ってて当然だろう。


 その中から俺はセキじい、ヴォルフ、マリン、そして母親の死体を見つけた。

 所々が腐食していて、原型を留めてないが、俺にはわかった。


 俺は呟く。


「…遅くなってごめんな。帰ってきたぞ。」

 

 そう言ってもみんなは答えてくれない。

 俺はなんだか虚しくなった。

 涙が出そうになった。

 寂しくなった。

 悔しくなった。

 

 何故だろう。

 その悲しみは本来村を襲われたときに感じるはずのものだった。


 何故その気持ちが今起こるのか。

 俺にはわからない。


 どうも俺は怒りで他の感情を吹き飛ばしてしまったらしい。

 人の死を、身近な人の死を拒絶して、怒っていたんだ。

 ずっと、シネマ国を戦争で破ることを考えていた。

 でも、それだけだ。

 シネマ国と友好を結びたいと感じたのは、おそらくその怒りが消えたから。

 

 そしてそれによって、誰にも矛先の向かない悲しみが生まれた。

 ようやく、正しく、人の死を受け入れることができた。


「俺は、一歩成長できたんだな。」


 そう結論付けると、俺は穴を掘り始める。

 ちょうどここにある死体が入るくらいに。




 …どれだけ経っただろうか。

 ようやく大きな穴が掘れた。

 俺はそこに死体をどんどん入れていく。


 死体がもうなくなったときに、俺はそれを土で埋める。

 俺ができる唯一の葬儀だ。


 土をかぶせ終わると、俺は板をそこに立てて、手を合わせた。


 今までの思い出を一つ一つ思い出しながら。

 何故だろう、涙が溢れてくる。

 どうしようもなく悲しくなってくる。

 俺はやっぱり臆病で、何一つ成長していないのかもしれない。

 ここで立ち止まって、永遠に手を合わせ続けていたかった。

 ここからまた歩いていくのが、怖くて堪らなくなる。


 でも、俺は目を開ける。

 ぼやけた視界に、一つ光るものが映った。


 それは、剣だ。

 俺があの日セキじいに託された。

 振ること一つさえできなかった剣だ。

 人を傷つけるための道具だ。


 俺はそれを拾って、腰につける。

 うん、しっくりきた。


 これで、やり残したことはないだろう。

 日はすっかり沈んでいて、夜が始まる。

 この世界の夜は暗いのだ。


 俺は歩き始める。

 王都の方向へ、今いる居場所で。


 これからだって悲しいことや苦しいことはあるかもしれない。

 身近な誰かが死んだり、俺のために誰かを死なせたりすることが。

 それは、怖いな。

 でも…。


 ここから始めよう。

 ここから踏み出そう。

 この残酷な異世界で生きていくことを。

 この残酷な異世界で歩き続けることを。


 俺は、心にそう誓いながら、帰路を辿っていくのだった。



 

 そして、土壌は整った。


その時、ヒムラの心の中にあった『救恤の芽』は素早く進化を開始する。

芽が出始め、茎を伸ばし、葉をつけて、蕾を見せる。


そして、開花。

ピンク色の大きな花が咲き、それは永遠に咲き続ける花となる。


それは、加護。

天が天人魔人に与えた能力。

理から外れた、イレギュラーな法則。


ヒムラに芽生えたそれは、こう呼ばれることになる。


『神速の加護』

さて、これで第一章が終了しました。

第二章までは間隔を開けたいと思います。

間話を4つ用意しましたので、

3/25 天使会議

3/28 ユソリナの手腕

3/31 塩!1

4/4. 塩!2

という感じであげます。

そして4/8くらいから2章開始します。


あと、今後の話もちょっと…。

おそらくこの神速の軍師ですが、概算では12章くらいまで続く予定になりそうです。

そして話数も500話は確実に超えます。

ヤバイですね笑笑。

続けていけるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。


最後にこの第一章を読んで、満足していただけたら、

下にある☆☆☆☆☆で評価していただけると嬉しいです。

この作品が無事最終話まで迎えられるよう、よろしくお願いします!

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