三章 十二話 激闘〜ロイvsスゥエース
「ちょっと!影に隠れるのは反則じゃん、」
「知らないわ。早く終わらせる。」
「ええ、姉様、早く終わらせなきゃ、仕事が終わりませんもの」
ヨルデモンドとクロノオを中間地点
クロノオ隠密たちが「基地」と呼ぶ場所。
基地なんて、厨二病感があってかっこいいじゃないかと思ったら、実際に見て見ると、ただの野営施設だった。
まあ、わざわざでっかい塔を作れるほど、クロノオ軍部に金は回ってこない。
とまあそれはいいとして
本来ならば隠密部隊が見張りをしているところなんだが…
何があったのだろうか
ロイと「風の剣士」スゥエースが、一対一で戦っている。
スゥエースが退屈しないように、たまにこうやって模擬戦をすることがあるらしいが…
早速超級の戦闘と化していた
「ハッ!」
「おっと危ない、そんな速さじゃ見切られるぞー」
「…レイ、あいつに一発食らわせるまで今日は帰らないわよ」
ロイのナイフを、早々に見切って横に逃げるスゥエース。
避けたついでに軽口を叩き、それがロイの感情を逆撫でしてしまう。
審判役のレイは、困った顔で
「…姉様、そろそろ仕事に戻らなければ…」
「これならどうかしら!」
不安そうにロイを見つめるレイ
だが、その言葉は早速ロイの耳に届かない
完全に、ロイはスゥエースに憤っている。
今まで、ナイフを全て回避させられ、その上毎回煽りを入れてくるのだ。
ロイが手に出したのは、三本の凶悪なナイフ。
軍部大会の際にドルトバに対して使ったものと同じだ。
三本のナイフのうち、二本を投げる。
それは、もはや知覚することすら難しいほど速い。
怒りも上乗せされた、間違いなく最恐のナイフの攻撃である
が…
「よっ、ふっ!なかなか楽しいなあ!」
スゥエースは側から見れば余裕そうに、ナイフたちを自身の風で薙ぎ倒していく
しかし、スゥエースとて油断しているわけではない。
今のも、自分の最高レベルの風を出しているのだ。
結構体に負担がかかったし、それにあのナイフの速度から確信する
(やばい!ロイちゃん確実に当たったら死ぬレベルの攻撃してる!僕っちそんな持たないよ!?)
冷や汗をかきながら、今までのロイとの戦いを思い返す
ロイは、非常にやり辛い相手であった
スゥエースが得意とする風を使った戦術も、ロイが影に隠れてたら意味がない。
隙を狙って、風を発動しようとするのだが、そもそも相手はクロノオの暗部のプロ
隙なんて見せようもないのだ。
風を発動しようとした瞬間、影にすぐに潜られる。
そして、地道に体力を削ってくるのだ。
なんともいやらしいというか。
まあ、本来ならば格下のロイが、なんとか勝つために考えた戦術だ。
このままだと消耗戦で一発食わされてしまう。
そう思った矢先
「あれ?ロイちゃんは?」
ロイが目の前から消えていた。
また影に入ったのか。
そう思った瞬間。
「…!!」
「貰ったわ」
背後に隠れていたロイが、奇襲を仕掛ける。
流石に気がつくのが遅れてしまった。
スゥエースは、別に危険察知能力が高いわけではない。
自身の風の力で、大体奇襲などは不可能なのだ。
それゆえに、今までそういったものに対しての対策を怠ってきた。
だが、今回はそれは通用しない。
影から瞬時に身を出したロイが、短剣をスゥエースの肩に刺そうとした
ほとんど勝ちは確信
ほくそ笑んだロイだが…
「それで負けてんなら、僕っちの名が廃るからね!」
「何ーーーッ!」
腰から細剣を取り出すと、その取り出した勢いのままロイに突き出す。
しなやかな細剣だが、縦に突くとかなりの攻撃力を有する。
ロイの短剣が、弾かれた。
ロイの短剣を危機一髪で回避。
そして、そのままロイに細剣の先を突き出した。
「はい、僕っちの勝ち」
「クッ…」
にやにやと笑うスゥエースと、悔しそうにしているロイ。
最初からスゥエースの作戦通りなのだ。
まず、ロイの遠くからのナイフ射撃を全て受け流し、ナイフ射撃では無理だとロイに思わせる。
すると、ロイはおそらく機会を見計らって自らスゥエースを攻撃しにくるだろう。
そこで、その一瞬の隙をついてスゥエースがトドメを刺したのだ。
歴戦の隠密といっても、勝ちを確信した時には隙ができるだろうと踏んで。
最初から最後までスゥエースの思惑通りだった。
それを悟ったロイは少し悔しそうだ。
あれだけ戦闘中に煽られた挙句、行動が全て掌の上だったのだ。
そりゃ悔しいわな
だが、スゥエースとて意地がある。
異名持ちの誇りとして、十歳ほどの子供に負けるわけにはいかないのだ。
許せ、ロイ。とスゥエースが1人ニヤニヤして、
「というわけで、今日は僕っちの勝ちってこと…」
と言いかけた瞬間。
背後に何か気配を感じた
ヤバイ!と思うが既に手遅れ
「ハアア!」
「グハッ……ッ」
後ろから忍び寄ったレイが、本気のひと蹴りをスゥエースの腹にお見舞いした。
その勢いで、3メートルほども吹っ飛ぶスゥエース。
かなりの強烈な蹴りであった。
「ハアハア…、っておい!僕っちとロイちゃんの一対一じゃなったっけ!?」
「やるわね、レイ」
「はい、少々彼の表情が癪に触ったので、やってしまいました」
「そんな理由で!?結構痛かったよ!」
喚くスゥエースと、そんなことも気にかけずニコニコしている姉妹。
そんな光景を見ながら…
「…お前らっていつもこんなことしているの?」
みんなのことを見回りに来たヒムラが、呆れながらそういった。
お久しぶりです。
一年前に更新停止してから、これをみてくれている人はいったいどれほどいるのでしょうか。
何人かいらっしゃることを願います。
このように少しずつ話を進めていきたいと思いますので、受験が終わるまでご了承ください。
ここ最近は勉強の合間に自分で自分の作品を読み返してみて、何個か直さなきゃいけないところがあるなと感じています。
確かザンとヴィルソフィアクリスのヨルデモンド首都訪問での初登場シーンなんですけど、彼らの名前が完全に違うんですよね笑
それに、設定もおかしくなってるし。
結構めちゃくちゃですよね。
ロイの「マスター」呼びも消えてしまったし笑
また受験終わったらしっかり直します。
でも、自分の作品を読み返してみて、やっぱり結構面白かったです。
自分が面白いと思うものを書いているので、当然ではありますが…。
これからもなろう界隈の隅っこの隅っこですが、細々と続けていきたいと思います。
では、これからもよろしくお願いします。