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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
間章 all side story
136/161

6話 〜風と神速3〜「アジト近くにて」

 俺たちは支度を整え、盗賊団の討伐に向かった。

 メンバーは俺、ユーバ、テルル、アカマル、ドルトバ、ロイ、レイだ。

 そういえば…。


「レイ。」


「なんでしょうヒムラ様。」


「昔レイとかロイが所属していたのは盗賊団なのか?」


 確かレイとロイは過去に何か闇組織に所属していたはずだ。

 ファントムエレメント戦のあと、レイとロイが教えてくれたのだった。

 まあ確かにレイやロイのような少女があれだけ戦闘技術を持ち隠密能力に長けているのなら、過去に何かあってもおかしくはない。

 

 そして今回の盗賊団退治を聞いて、もしかしたらと思ったのだ。

 俺はレイに遠回しに聞いている。

 今回の盗賊団事件はレイとロイが昔所属していた闇組織なんじゃないかと。

 

 だが、レイは目を少し閉じると、


「…いえ、闇結社サザンは盗賊などではありません。確かに物を盗むことはありましたが、決して無差別に人や物を狙うわけではないのです。」


「そうか。」


 どうやら違ったらしい。

 というか、レイの口調からして盗賊団を下に見ている可能性があるな。

 闇結社サザンの誇り的な何かなのだろうか。

 

 俺が一人考えていると、横から話しかけてくる奴がいた。


「ヒムラ様。」


「ん?なんだアカマル。」


「いえ、少しお伺いしたいことがありまして。」


 少し緊張したようにアカマルが言う。

 どことなくいつものおちゃらけたアカマルとは違うな。

 どうしたのだろうか。

 

「おう、どうした?」


「本当にグランベル様は「風の剣士」がいるとおっしゃっていたのですか?」


「ああ、そいつがどうかしたのか?」


 「風の剣士」

 今回の盗賊団討伐で最も注意すべき人物。

 メカルに一応その人の情報を調べさせたが、特に有用な情報は見つからなかった。


 だが、メカルによると世界を旅する凄腕の剣士らしい。

 たまに密かに傭兵団などに混じって戦争に参加したりもするんだとか。

 まあ、その戦場で無双していると言う情報もあり、そこらか相当な腕前なのだとわかるが。

 

 アカマルは何を心配しているのだろうか。


「「風の剣士」馬とても有名な剣士なので、もしかしたら会えるかもしれないと思うと武者震いが止まらなくて…。」


「アホか。もしかしたらこれから対立するかもしれない相手なのに喜んでどうする。」


 いくらアカマルが尊敬していても、今回は「風の剣士」が敵として回る可能性があるのだ。

 と言うか、ほぼ確実に敵に回るだろう。


 そんな伝説的な人物を敵に回して、グランベルは何がしたいんだと頭を抱えたくなる。

 軍部のヘイトを下げるならもっとマシな仕事があるだろうに。

 

「まあ、仕事は仕事だ。しっかりこなすぞ。」


「「「はい!!」」」


 今日も元気いっぱいの軍部でした。

 



「この奥が盗賊団のアジトなのかー。」


 目をキラキラさせて森の奥を見るユーバ。

 鬱々とした暗い森。

 その入り口には人が何人か通った後が残っていた。

 おそらくこのさきが盗賊団のアジトだ。

 

 それはそうとして、


「おい、今日は視察と説得に来ただけだ。矛を構え合うのは交渉決裂してからだからな。」


「…はーい。」


 ちょっとがっかりしたようなユーバ。

 戦闘狂なところあるよな、ユーバって。


「なんか、俺が昔住んでた森に似てるぜ。」


 ドルトバがそう言ってにかっと白い歯を見せる。

 …森に住んでたって、お前の過去に何があった。

 なんだか軍部の皆のバックグラウンドがどんどん怪しくなっている気がする。

 

 レイとロイは闇組織、ユーバは孤児院。

 テルルも過去に何かあったらしいと言うことは知ってる。

 メカルは知らないがヨルデモンドに恐怖の感情を抱いてたことから、何かありそうだと言うのは察している。

 ユソリナとアカマルは比較的まともだな。

 俺自身も異世界転生してきたし怪しさ満載。

 そしてドルトバは森出身。


 んーわけがわからん。

 まあいいや。

 とりあえずアジトに入るか。


「ねえ、本当にこんな薄気味悪いところに入るの?」


 少し怯えた様子のテルル。

 何か嫌な感じがすると言うのは俺も同感だ。

 

 だが、仕事だ。

 行くしかないのだ。


「いつ何が出てくるかわからない。警戒しながら行くぞ。」


 俺はそう言うと先陣を切って歩き出す。

 

 そして、その後にワクワクした目のユーバとアカマル、ドルトバ。

 常に警戒を怠らないレイロイ。

 ビビりながら俺の袖を掴むテルル。


 こんな感じで俺たちは森を進む。

 

 歩くたびに足が重くなる森だった。

 日の光はほとんど差し込んでおらず、それなのに下は茂みが生えていた。

 汗が体にまとわりつく。

 

 だが、道には必ず終わりが来る。

 すぐに広場のようなところにでた。

 そこは相変わらず森に覆われているが、他のところよりかは少し明るかった。

 そして、そこの中央にテントのようなものが置いてあった。


 ボロボロのテントだ。

 でも、大きさだけはかなりのものだ。

 十人ほどは余裕で入ることができるだろう。


 おそらくここが、盗賊団のアジトなんだろうな。

 俺はテントの中に入ろうと一歩踏み出して、


ビーーーーーーーーーーーッ!


 音がなった。

 警報音のようなものが地面の下からなりだした。


「なんだ!?」


「警戒態勢だ!」


 俺が驚いているうちに、アカマルが皆に注意を促した。

 そして、程なくして森の茂みから何人かの男が現れた。

 

 腰に布を巻き、頭にはハンカチのような物を巻いている。

 そして手には下等のナイフが握られていた。

 

 俺たちと交戦する気だ。

 くそ、もしかしたらさっきの警報が彼らを呼びつけたのか。

 明らかに俺の失態だった。


 お互い一歩もひかず様子を窺っている。

 互いに互いを睨みつけて、探りを入れようとしている。

 そんな緊張の時間は、


「あー、どしちゃったのこれ?キミら何してんの?」


 間延びした、この場に似つかわしくない声で一瞬にして壊された。

 そこにいたのは、


「あとー、えっとその黒い服の子供たち誰よ?」


 白い服をきた、緑髪長髪の男だった。


 

 

 

 

 


次回は8月3日です

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