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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
第二章 神速と包囲
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二章 第九十話 エレメント城戦4

そう言えばユニーク数が累計1万人を超えていました!

このうちこの作品を追ってくれている読者様は何人おるのやら。

たくさんいることを期待してます!!

 エレメント城下町の一角が突然爆発した。

 あたり一面、爆発の煙に包まれる。

 

「やばい…な。これは…。」


 煙があたり一面に広がってしまった。

 これではこちらの兵たちが混乱してしまうだろう。

 事実、


「くそっ!なんだこれは!」

「前が見えない!!」

 いきなり現れた煙に、皆身動きを取れずにいる。

 

 早くこの状況を打破しなければ。

 俺は腰に据えていた刀を抜き出すと、その刀に魔力を込め、加護を発動する。


「「次元一閃(ディメンションカット)」!!!」


 宙に向かって刀を一振りすると、そのまま刀の軌道が魔力波となって前方の煙を飲み込む。

 俺はそのまま様々な方向に向けて「次元一閃(ディメンションカット)」を放った。

 煙を魔力波が飲み込み、徐々に視界が晴れてくる。

 

「皆いるか!!」


「いますよ!」

「こっちも大丈夫!」

「誰一人欠けてねえぜ!」


 俺の声に応じて、アカマル、テルル、ドルトバが頼もしい声を返してくれる。

 とりあえずここら辺一帯は大丈夫だろう。

 俺はさらに刀を振り続け、視界をもとに戻す。

 そして、


「なんだあれは…!?」


 俺は驚いてみるその目の先。

 爆発が起こったところには、


「うおおお!!」

「押せ押せ!」


「まずいです。ユーバ様!」

「持ち堪えて!!」


 ユーバ含む志願兵たちと鎧を身につけたある一団が交戦していた。

 その鎧を身に纏った一団。

 それは明らかに、エレメント城の中にいた傭兵たちであった。




「くそっ!一発かまされたか!」


「だから早く切り札を切っておけって言ったじゃん。」


「貴様は…!!…くっ、今回は私の失態だペレストレイン。」


「はっ!誇り高きとか言っておいて、このざまかい?なら興醒めだ。」


「クッ…。」


 エレメント城の最上階。

 話す初老と青年がいた。

 

 青年は呆れたようにため息をつき、


「で?結局エレメント城から市街地につながる隠し地下通路を使ったのか?」


「ああ、あらかじめエレメント市民たちとあの通路で連絡を取り合い、日程の調節を行っていた。いつクロノオに牙を剥くか、その話し合いをしてたのだ。」


「…だけどそれがクロノオ側にバレて、おまけに崖っぷちまで持っていかれ、苦し紛れに不完全なカードを切ったと。」


 そこで青年は初めてニヤリと笑い、


「ああ、ザン。君は面白いよ。面白い。愚かで未熟で幼くて。この世の全てを自分のものだと思ってるところが好きだ。」


 つか、つかとペレストレインはザンに近づく。

 一歩、また一歩。

 ついにはお互いの鼻と鼻が触れ合うまで。


「…クッ!汚らわしい狂人め!!近づくな!」


「…フハハ!!!なぜだろうか!?今まで俺は君が大嫌いだった。でも今俺は君が大好きさ。弱くて愚かでちっぽけでいじめがいのある。」


「ふざけるな!!!」


 ザンは無理やりペレストレインを突き放そうとするが、それは無理だった。

 単純にペレストレインの腕力の方が上だったのだ。


「ばかな。この青二才に力で負けるなど!?」


「ははは。なんかよくわからないけど今日はすごく調子がいい!!ああ最高だ。」


 ペレストレインはそう言って声高に笑う。

 

 ザンは震えていた。

 怯えていた。

 この男の狂気にさらされて。

 

「ザン。僕と一緒に世界征服でもしよう。」


「…は?」


「この世界を舐め尽くそう。この世界をむしゃぼり尽くそう!全て自分のものにしてしまおう!!いらなくなったら踏んづけて捨ててしまおう!!!」


 ペレストレインの語る夢は馬鹿げた話だった。

 でも、ザンにはその夢が魅力的に思えてしまった。


 世界を手に入れる。

 いくらザンでもそこまでの高望みはしたことがない。

 せいぜいこの辺り数カ国を支配したいと言った欲望だ。

 

 だからこそ、この狂人の語る夢が魅力的に思えた。


 そして、そう思ってしまったらもう遅い。

 その期待が極限まで膨らみ、ザンを壊していく。

 そして、


「では、ザン。俺に従え。」


「…ああ。わかりました。」


 彼は完全な人形と化したのだった。




 まずいまずい。

 あの爆心地から突如出現したエレメント兵は総勢四千名を超える。

 もちろん志願兵歩兵隊1,500名だけで耐えられる数ではないのだ。

 

 よって、


「ルーン・シネマはエレメント兵の対応にあたれ!!…傭兵団の半分も補助に迎え!」


「はっ!!」

「了解しました!!」


 パラモンドとクラリスが俺の指示を聞いてすぐさま部隊を編成する。

 そして、シネマ・ルーン兵たちと「白竜の剣」の半分が参戦した。

 主にシネマルーンが足止めをし、その間に左右から志願兵たちと「白竜の剣」が攻撃を加える形だ。

 

 これで対処できただろう。

 あとは…。


「ロイ!!」


「はっ。」


「エレメント兵が現れた原因を調べろ!可能であればその原因を絶て!」


「了解。」


 この事態の原因究明にロイを向かわせる。

 そこを突き止めない限りはこの騒動がまた起こってしまうだろう。

 

 そして、


「ヒムラ様!!」


「どうしたアカマル。」


「先ほどのエレメント兵に加え、一般のエレメント市民が武器を持って参戦しました!!」


「なんだと!?」


 俺は急いで戦場を見てみると、確かにエレメント兵に混じって一般市民も混ざっていた。

 

 ここからわかることはただ一つ。

 エレメント城内の兵とエレメント市民は連絡を取り合っていた。

 そうでなければこんなふうにすぐに共闘することなどできるはずがない。

 

 パラモンドが「不穏な動き」と言っていたのもきっとそれだ。

 

 ここまできて、俺は初めて自身の失態に気がついた。

 

 つまり、エレメント市民たちを甘やかしていたことに。

 俺はパラモンドから「不穏な動き」についての報告を受けたとき、それについての処罰はせず、泳がしておくようにと命令した。

 反抗心が起こるのは仕方がないと、脅しを少しすれば十分だと思って特に有効な対処はしなかった。


 全て、自分の良心がエレメント市民を傷つけることを躊躇わせたからだ。

 それは、あるいは現代社会であれば笑って片付けることができたかもしれない。


 だが、ここは戦場。

 学校の教室なんかよりも極めて残酷で、救えない場所だ。

 そんな甘い考えがこのような形で帰ってくる。


 くそ、考えても仕方がない。

 早く何か打開策を考えないと。

 俺は必死に頭を回転させ、


「ヒムラ様!!!」


「今考え中だ!!後にしてくれ!。」


「そうは言ってられません!!」


 俺を呼びかけるロイ。

 この緊急時に何用だというのだ。

 しかもお前はエレメント兵たちの謎を突き止める命令があったんじゃないのか?


 目の前の少女に少し苛立ちを感じながら、


「緊急なら言え。」


「ハッ。エレメント城と城下町のつながりを調べにエレメント城に潜入したところ、ありえないような危険な光景を目にしました。」


「…なんだ、それは。」


 ロイの真剣な目に圧倒されて、嫌な予感が背筋を辿った。

 

「ザンが…、ペレストレインと和解しました。」


「…は?」


 ザンと、ペレストレインが和解だと…?

 待て待て待て待て、そうなると…。


「和解、。どうしてそうなったかはわかるか?」


「…これはあくまで私の推測ですが、ザンがペレストレインに操られています。ザンが正気を保っていません。」


「…なるほど。」


 まさかザンがペレストレインに負けてしまうとは。

 …ん、待てよ。

 二人が言い争いをしなくなったということは、敵側の動きが決定しやすくなるワケで…


「大変よヒムラ!!」


「どうした?」


 城の見張りをしていたテルルが慌ててこちらに駆け寄ってくる。

 彼女はこちらにたどりつくなり俺の腕を掴んで息を整えると、


「エレメント城から、総勢1万人ほどの兵が出てきたわ!!!」



 

 

 



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