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神速の軍師 ~転生した歴史教師の無双戦記~  作者: ペンシル
第二章 神速と包囲
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二章 第七十一話 対エレメント2

ちなみにこの話で100話目です。

今まで拙い文章を読んでくださった読者様に感謝すると共に、これからもよろしくお願いします❗

もうすぐブクマも100越えそうだから、そのときに何かします(アバウト)

感想とか評価とかしてくれてもいいんだよ?(チラッ)

 姉川の戦いというものがある。

 前世ではそこそこ有名な戦いであり、戦術オタクである俺はもちろん知っている。

 姉川という川を挟んで織田軍と浅井朝倉軍がぶつかったのだ。

 そこから今回のエレメント戦の戦術を考えたわけだが。

 

 川の上での慣れない戦いにおいて、兵をどう動かせばいいのか。

 色々と考えてきた策を実行してみるか。


 まずは、


「全員散開!!!歩兵隊はかくグループごとに距離を開けて攻めろ!魔導隊は後方で待機!」


 俺の指示に従い、歩兵隊が皆散らばっていく。

 相手を後方に通さないように、それでもできるだけ距離を開けて戦闘態勢をとる。

 散開させた狙いは二つだ。


 まず一つとして、密集していると魔法攻撃をモロに受けやすいからだ。

 エレメントの魔法は予測不能だし、万が一密集しているところに強力な魔法が撃ち込まれて全滅なんてこともあり得るからだ。

 

 そして二つ目は…


「相手に包囲をさせるな!!こちらも散らばれ!!」


 ザンがこちらの動きを見て慌てたように傭兵を散開させる。

 さすがに雇われた身でもあるので、傭兵達も素直に指示に従う。

 クロノオ軍とエレメント軍が同じ長さになり、所々でぶつかり合いが始まる。


 エエエエエエエ

—————————

小川

—————————

ククククククク


 ちなみにどうやらエレメント軍には騎馬隊はいないらしい。

 あんなにも便利なのになぜないのだろうと疑問に思わざるを得なかったが、まあ今はそんなことはどうでもいい。

 いかに相手を効率よく攻めることができるか、だ。


 俺は第二の命令を発する。

 

「では左のグループは後方に下がれ!ユーバは援護を頼む!!」


「らじゃー!」


 俺が最近教えた現代語をしっかり使いこなすとは、なかなかのやつだな。

 

 左側のクロノオ軍を後方に下がらせると、それを追撃するかのようにエレメント軍が前へ前へ攻める。

 チラッとザンを見てみると、奴はこの事態を静観している様子。

 きっと「なんかクロノオ軍引いてるみたいだしラッキー」とでも考えているのだろう。

 こちらの思惑にハマりつつあることも知らないで。

 どうやら戦術に関してはパラモンド以下であることが発覚した。


 今のところ研究員からは魔法が使われていないことも考えると、余裕でこちらに勝つ気でいるのだろう。

 ならば、魔法を使わせずに短期決戦を挑むのみ!


   エエエエエエ

——エ———————

 エククククククク

—ク————————


 エレメント軍の左側が前に進んでいる。

 真っ直ぐに並んでいるエレメント軍と斜めに飛び出でしまっているエレメント軍のちょうど境目。

 そこが最も兵の移動が激しく、守りが薄い場所だ。


 よってそこを攻める。


   エエエエエ 

——エ↖︎——————

 エクククククク

—ク————————


 クロノオ軍の中央あたりに集めておいた精鋭を一気に隙間に押し込むのだ。

 今のところ予定通りである。


「では、第八グループ!攻撃開始!!」


「「「おおーーーー!!!」」」


「ユーバはそのまま後退の援護!魔導隊は第八グループの援護を頼む!!」


 場面を動かしていく。

 駒を少しずつ動かして、誘導して、つけ込む。

 それが戦争の醍醐味だ。

 だが、相手もただでは負けてはくれないようだ。


 ザンは自分が嵌められていることに気が付いたのか、すぐに兵をひかせ陣形を立て直そうとする。

 だが、それも想定内だ。

 すでに前進して川に浸かってしまったエレメント兵達。

 そんなにすぐには後退できないだろう。

 そこへ勢いに乗ったクロノオ軍の猛攻が降り掛かったのだ。

 

 魔法によって水しぶきを上げさせ、場を混乱させたところでクロノオ兵が攻める。

 どちらに向かえばいいのかわからぬまま、次々とエレメント兵は殺されていった。

 圧倒的にこちらに有利に進んでいる。

 統率の取れておらず、戦争経験の少ない傭兵など、日々訓練を積み重ねた志願兵達の敵ではない。


 …この戦争が終わったら志願兵とかじゃなくもっとしっかりとした名前をつけてあげなきゃな。

 あまりにも余裕すぎたので、俺は少し警戒を怠り志願兵の新たな名前を考えてしまった。

 だが、事態は着実に動き出す。


「ヒムラ!!」


 こちらを見て何か叫んでいるテルルがいる。

 どうやら必死そうだ。

 何が起こったのだろうか。


 俺はテルルに近づくと、


「どうしたんだ?」


「はあ!?あんたぼうっとしすぎじゃないの!?何考えていたのよ!」


「いや、志願兵達の新たな名前を…。」


「ばっかじゃないの!?」


 嘘偽りなく話したら、テルルに一喝されてしまった。

 まあくだらないこと考えていたという自覚はある。

 反省するとしよう。


「で、どうしたんだ?」


「はあ、本当に何も見てないのね。まあその方が都合がいいのかどうかわからないけど…」


 何も見ていないとはなんだろうか。

 何か起こったのか?


「さっき、ザン自らが魔法を使いそうになったわ。見る限り、かなりの魔法だったけどね。」


「…?使いそうになった?どういうことだ?」


「魔法陣だけ出して、その後それを中断したのよ。」


「…?それはなんのために?」


「おそらく、こちらを脅しているのよ。俺は高度な魔法が使えるぜ!!みたいな感じ?なんで脅してるのかは知らないけどね。」


 なるほど、つまり自分の力を見せつけようとしてきたわけだ。

 それを俺が見ていなかったから、テルルは「見ていない方が都合がいい」みたいなことを言っていたわけだ。

 テルルはなぜこちらを脅してくるのかわからないと言ったが、俺にはわかった。


 つまり、彼方はクロノオが降伏することを望んでいるのだ。

 戦争によって決着をつけてしまうと、互いに損害が出る。

 エレメント側の損害が出て欲しくないのはもちろん、クロノオ側の損害も彼方は望んでいないのだ。 

 それは別にザンがこちらに思いやりを持っているとか、聖人君子のように優しいからでもない。


 言って仕舞えばただ単に、国力の下がったクロノオを支配したくないからだ。

 エレメントとの戦争によってボロボロになったクロノオを支配してもあまり利益は得られないが、降伏してまだ健全なクロノオを支配するならば莫大な利益が得られる。

 そう読んでのザンの脅しだろう。


 だが、その考えは時期尚早と言えた。

 クロノオ側が優勢なのは誰の目からしても明らかであるし、そのタイミングで脅しをされても心は全く動かない。

 それに…


「テルル。さっきザンが使ってたとかいう魔法、お前も使えるか?」


「…?まあ使えるわよ。ザンよりかは練度は低くなるだろうけど。」


 まあクロノオにもこんな化け物みたいなやつがいるんだから、ザンのそれは脅しとしては少し弱い。


「…なんか今。ヒムラの心の中で心外な評価を受けた気分なんだけど?」


「気のせいだ。さあ、心を入れ替えて頑張ろう!!」


「…。」


 何やら後ろから冷たい目線が送られるが、気にしないことが最善である。

 まあそんな感じで俺たちが話しているうちに、事態は進む。

 それも、かなりいい方向だ。


「おっしゃ押せ押せ!」

「ヒムラ様が見てるぞ!!」


「なんだこいつら!?傭兵並みに強いってどういうことだよ!?」

「クソ、まとまって変な動きをしやがった!」

「おい!魔法が来るぞ!!」


 川という地形を有利に生かし、撹乱しながら各個撃破。

 個人の能力からしてもクロノオ志願兵は傭兵団にそう劣らないらしい。

 こちらが優勢に動いているようだ。


 だが、そこで一人の人物が動き出す。

 ザンだ。

 何やら悔しげな顔をして、その後覚悟を決めたように頷いた。


 何をする気だ?

 まさか…


「ええい仕方がない!全面戦争には移りたくなかったが、さすがに傭兵団が弱すぎる!!」


 ザンは叫ぶ。

 叫んでいる相手は…


「魔法使い諸君。貴様らも戦争に参加せよ!!クロノオに、格の違いというものを教えてやれ!!!」


「ですがザン様!」

「こちらの損害も…!」


「うるさいぞ!これはヴィルソフィア様の命令である!!!!」


「「「…!」」」


 ヴィルソフィアの命令といったことで、皆の目の色が変わる。

 嫌そうだった二十人ほどの「師」達も、皆決意の表情をしているのだ。

 まさか…


「では、魔法攻撃開始である!!」



姉川の戦いについての記述で、もしかしたら誤りがあるかもしれません。

様々な説があるとは思いますが、ここでは筆者が記憶している姉川の戦いについて言及させていただいてます。

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