地獄、そこは・・・。
むちゃくちゃ短くて一瞬で読めてしまうでしょう。
朝起きたらそこは地獄だった。
窓から外を見渡すと、噂で聞いていた通りの場所だ。
日々仕事に励み、上司の覚えも良かった。家族にも愛されていたと思う。子供はまだ小さいのに、妻がひとりで育てていかなければいけのが申し訳ない。
寝た時のことは覚えている。いつものように定時に仕事を終えて帰宅し、着替えた後は妻と他愛ない会話をしながら子供をあやした。風呂、食事、そしてまた妻と仲良く会話をする。何気ないことだが、いつもの幸せな毎日と同じだ。
妻は隣の部屋で小さな子供と先に一緒に眠る。俺は少し明日の仕事のスケジュールを確認してから、床に就いたはずだ。
起きたと思えば、そこは地獄。以前面白可笑しく上司が俺に話していた地獄が実際に有ったことに驚くとともに、上司の博識も称賛しておこう。
そういえば確か言っていた。地獄には向こうの者たちが呼ぶ別の名があると。それは確か。
そうだ。確か地球と言った。