王子様!?
久しぶりです!
レオン・ライナーツ………第一王子………王子!?
「し、失礼しました。
私はリア・クロードです。
本日はお招き頂きありがとうございます。あっえと、誕生日おめでとうございます。で、では」
そう言って去ろうとするとぐっと腕を掴まれた。
へ?
「待って。リア・クロード」
王子の言葉とあらば去ることは出来ない。
周りの視線が気になるし、私、なにか無礼なことしちゃったかな…
「な、なんでしょうか……」
ああ、はやく去りたい、去りたいよぉ。
領が恋しい…
「君は奥ゆかしい性格なんだね。僕が話しかけても、逃げようとする。そんな君のことが気になるんだ」
奥ゆかしい性格なんじゃなくて、臆病なだけなんです!!!
心の中で叫ぶが、届くはずも無い。
気になるなんて、なんて気まぐれなの。
とりあえず、そう、やり過ごさなければ。
もちろん、興味を失ってもらう為に逃げないように、せ、積極的に??
「私、殿下に会うことが初めてで、き、緊張してたんです。
だから、殿下が仰るような奥ゆかしい性格ではないんですよ。
い、一緒に踊ってくれませんか!?」
「うん、いいよ」
え、なんで。
墓穴を掘っちゃった…
積極的な性格は嫌いかなと思って、踊りに誘ったのに…そして断られ、仕方ないけど退散みたいな…
「あ、え?何故です?」
「なんとなく?君から誘って貰ったし」
「私、踊り下手ですけど、それでもよろしいのですか?」
「うん、問題ない」
にっこりと微笑まれ、どぎまぎする。
嘘でしょ……
なんで私なんかに……
体調悪いと嘘を言ってきりぬけるか、駄目だ。
自分から誘ったのに、失礼にあたるよね。
それに、嘘だとばれたら……
もう~~~~~~、私の馬鹿!!!
「…………では、お願いします」
「よろしくね。お姫様」
膝まつき、手の甲にキスをする。
ひゃあっ。
生暖かい。
「踊るの、初めて?」
「は、はい」
「大丈夫。しっかりリードするから」
そして、殿下は言葉通りそうしてくれた。
私が何回か靴を踏みそうになったときも、華麗に避けて…
ダンス、上手なんだな。
そ、そして、近くない?
ダンスって、こんな密着するものなの?
もう少し離れよう………
体を離そうとすると、
「だーめ。踊れないでしょ。密着しないと」
ぐっと腰を引き寄せられる。
ええっ
「僕は、もっと密着しちゃっていいんだけど」
耳元で囁かれる。
ひあっ。
無理~~~~!!!
「あはっ、顔真っ赤で可愛い」
え、え、え、私今顔真っ赤???
恥ずかしい………!
「やっぱり、君いいね」
な、なにがですか!
「なんでそうなるんです!?私はただの田舎令嬢です。か、からかわないで下さい……」
「からかってないよ。あっ、もう終わりだね。あっという間だったよ」
私はものすごーーく長く感じましたっ!
「まだ挨拶があるから名残り惜しいけど、じゃあね」
「はい、ダンスのお相手をして頂きありがとうございました……」
やっと終わったあ。
と思ったら突然現れた王子様は、私を散々からかった挙句に、振り向いて「そうだ、伝え忘れてた。また会おう」と言ってきました。
私はもう二度と会いたくありません!!!
おやすみなさい!