出会い
久しぶりに書きました。
………。
パーティーへの緊張を忘れ、王宮のファンタジーチックな雰囲気に感嘆する私。
本でしか見たことのないような豪華なものだ。
キラキラと光る巨大なシャンデリア。
壁も扉も床も、目につくもの全てに見惚れてしまう。
「……すごいわねぇ!」
「ああ」
母が目を輝やかせて興奮したように言う。
父は「ああ」と普通の様子だが、よく見るとどこか上の空のように見える。
荷物持ち疲れがでたのか、この光景に気後れしたのか、もしくはその両方かだろう。
「お飲み物はいかがですか。」
わっ、びっくりした。
いつの間にやら、横に黒服の正装に身を包んだ青年が。
「何の飲み物なのかしら?」
私がどうすればよいのかと思っていると、母が慣れた様で対応してくれる。
「フルーツをふんだんに使った、シャンパンになっております。あっさりとした喉越しなので、女性に好まれる味です。」
「そう、もらうわ。あなたは?」
「もらおうかな」
私は、どうしよう!?
お酒、飲める年齢にはなったよ?なったけど、まだ飲んだことないから怖いんだよね。
「リアは、15歳になったばかりだし、今回は遠慮しておく?」
「う、ん。そうしようかな。」
やっぱり王宮のパーティーで初めて飲んじゃうのはちょっとね。
酔ってしまって、大変なことになるのは嫌だし。
父様はぶっちゃけ、パーティにおいては頼りないかもだけど、社交性のある母様のことは頼りにしてますよ!
父様も母様を頼りにしているんじゃないかな?
「あ、あそこにビュッフェ式の食事がある!」
壁にそって並べられた多くの食事。
好きなものを好きな分だけ取れる、パーティーらしい軽食。
本で知ったのよねー、この食事の形式。
「そうね。あっ、ジュースもあるわよ。」
母がジュースを見つけて言う。
「本当だわ。私、とってくるから、父様と母様は待っていて。」
近くだしね。
父様と母様の二人水入らずってのもいいかも。
ゆっくり行こうっと。
そんなことを考えながら歩く私です。
選ぶのは良いけれど……何にしよう。
ジュースって言っても色々あるらしい。
チェリーブロッサムとか、オシャレな名前。
田舎の牧場では、生乳ぐらいしか飲まないから、初めて聞く名前のジュースばかりで戸惑う。
「そこの君」
「はい?」
私のことかと思って振り向く。
これで間違っていたらすごい恥ずかしい。
そこに居たのは、金髪に碧眼の王子様っぽい人。
「あの、申し訳ないのですけど、誰でしょうか。」
とても見目麗しい青年だけど、どこかで見たことがあるような。
……気のせいかな。
「いきなりごめんね。僕は、第1王子レオン・ライナーツ。」
第1王子っ!
本物の王子様だったことに驚きを隠せない。
───これがあの王子との出会いだったのでした。
ありがとうございました。