王都巡り
また、ゆっくりペースで書き始めます。
王都に到着して、真っ先に目がいったのは、多くのお店。
だって、田舎にあるお店っていうのは、数少ないし、目新しいものがない。
馴染みの店があるっていうのは、いいことなんだけどね。
「買い物したいわぁ〜」
母もそう感じたのか、1人つぶやく。
「ああ、せっかくの王都だしな。」
母の独り言を拾った父が、肯定する。
はい!荷物持ち決定です。
「少し見て回りましょう。いいかしら?」
「ああ。何処から行こうか。」
父は多くの荷物を持って、筋肉痛になるだろうなー。
と考えながら歩いていたとき、誰かとぶつかった。
「ご、ごめんなさい!」
急なことだったので、慌てて謝る。
「こちらこそ、怪我はなかった?」
そう優しく声をかけてくれたのは、黒髪に碧眼の美少年だった。
かっこいい……
王都の人の顔面偏差値って、やっぱり高いんだろうか。
「ないです!」
怪我なんて、田舎ではしょっちゅうだから、心配される事にあまり慣れていない。
逆に、こそばゆいような気持ちだ。
「それなら良かった。可愛いレディに怪我がなくて、ホッとしたよ。」
か、可愛いレディ!?
王都の人って、恥ずかし気もなくこんなこと言えるんだ……。
オウト、コワイ。
「ソウデスカ。心配してくれてありがとうございました。それではっ」
逃げるように立ち去る私。
キラキラ美少年に可愛いレディと言われて、ドキドキしない訳がない!
ううん、ドキドキを通して、鳥肌さえ感じる。
その時、私は、女の勘というやつで察知していたのかも知れない。
あの美少年が厄介な存在であることを。
父と母に合流した私は「もうどこに行っていたの」とは言われなかった。
何しろ、母は母でがっつり買い物を楽しんでいたし、父は、お察しの通りの荷物持ちです。はい。
短時間で、こんなにも……という量だった。
父様、頑張ってください……!
と念じておく。
「あ、そういえば、パーティって何時に開かれるんですか?」
今日っていうのは知っていたけれど、何時からかは聞いていないしね。
「えーと、3時からだったかしら?ねぇ」
「ああ。だから、少し休憩しないか……」
すでに疲れ果てている父。
それに反して、母は、とても元気だ。
「何言っているの!だからこそ、それまでめいいっぱい楽しむんじゃないの。」
「……そうか。」
父の目はどこか遠くを見ていた。
母様、強し……!
ありがとうございました