婚約
「こ、婚約ですか……?リアは私から見ても可愛い娘ですが、婚約というのはどういうことでしょうか?」
婚約という言葉に戸惑っている父様。
そうだよね。
私の気持ちはどうなるの?という話ですよね。
「身分差もあります。釣り合わない気が……」
父様が続けて言う。
身分差のことからかい!
身分差よりも娘の気持ちを優先して欲しかった。
いや、身分差も大切なことだろうけど。
母様は飄々としているな。
いつもどうりか。
凄いよね。
どんな時でも動じないって。
「それは大丈夫です。身分関係なく、好きになった人ですからね。王と王妃から了承は得ています」
かしこまったように言う。
さっきとは打って変わった態度ですね。
私にはキラキラ☆とした感じで話しかけてきたというのに。
「そうなの?なら、問題ないわね」
問題ないのね?母様。
いやいや、問題ありまくりじゃない?
だからね、私の気持ちがね、入っていないじゃないの。
「も、問題ありまくりです!無理です!」
王子にこのような事を言うのは失礼かもしれないけど、言わずにはいられなかった。
だって、婚約させられるかもなんだよ?←強制的に
無理無理無理です……
私、結婚に願望とかないけど、普通な婚約者が出来て普通に結婚するのかと思っていたよ。
王子と婚約だなんて……絶対普通じゃない!
「何故?僕のこと嫌い?」
「そんなんじゃ、ないですけど」
嫌いといえる程、嫌いではないし。
嫌いだったとしても王子相手にバカ正直にいいますか!?
「なら、大丈夫だよね★」
無言のスマイル……
ううう。
なんなの、本当。
圧力を感じますって。
「……あっ、そうです!婚約とは好きな人同士でするものじゃないですか?政略的なものもあると思いますけど、今回の場合は違いますし」
そう、政略的な婚約・結婚は少なくない。
身分の高い貴族や王族なら尚更だ。
レオン様は私のことが好きとのたまっているけど、信じていないし、レオン様に対して私は好意の欠けらも無いし……
愛がない婚約・結婚って虚しいじゃないですか。
「僕は君のことがこんなにも好きなのに……」
はあ。そうですか。。。謝ったほうがいいですよね。
「すみません……」
「……僕の魅力が分かってないか、恥ずかしがっているんだね!?君は。
みんな、僕と結婚したがるからね。君だって本当はそうなんでしょ?ほんとに謙虚だなあーそういうところも好きなんだけどね☆」
キラっ☆とウインク
この人、世の中の女性はみんな自分のことが好きだと思い込んでいませんか!?
それに発言の数々……ナルシストですね。。。完全に。
本当にこんな人がモテるんですかね。
取り敢えず、一言。話が通じない。
これ以上話していても埒があきません。
「父様、何か言ってください!」
「あ、ああ。娘もこう言っていることですし。婚約の件はなしにしてくれませんか、殿下」
父様……
権力には弱いんですね。
恐る恐る聞いているのが丸わかりです。
「駄目です。これは決定事項です」
「なら、仕方ないですね……?」
と、父様。
何が仕方ない、ですか!
権力に弱いですね!本当!
「そうね~しょうがないわ」
と、くすくす笑う母様。
母様は毎日が楽しそうで何よりです。
だがしかし、私のことについて愉快に思うのはやめてほしい。
私にとっては、大切なことなんですからね?
「~……もう分かりました!こ、婚約しましょう!」
「これからよろしくね☆婚約者さん」
ああ、駄目だ。
私はとことん押しに弱いみたいだ。