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魔女と鉱石、帰還譚  作者: 空野
Chapitre.3
22/323

3-2

 思った以上に違和感がなくて逆に笑ってしまう。

 倉庫でいそいそ着替えてから半日。書記官二人や、使用済み鉱石を運ぶ為に呼びに来た班長、また、採掘現場の鉱夫達は、口を揃えてそう言って笑い出した。

 「そんなに違和感ないだろうか……」

 本日最後の運搬作業を終え、すっかり慣れた浮遊魔法で孔を下りつつ。

 自分の顔にペタペタと触ってみる。

 竜の爪でぶつ切りにされてしまった前髪は、イザベラに指摘されたのもあって、仕方なくプッツリ自分で切り揃えていた。その黒髪でパッツンな前髪が、ひょっとすると堅い感じの服の雰囲気と合ってしまったのだろうかと考える。

 「まぁ、様になってるなら、正直ちょっと嬉しいけど」

 偶然穿いていた編み上げのブーツが、これまたいい感じに合ってしまっていて、確かに自分でも、思ったより完成度が高い気はするのである。

 意外とソレっぽくなってるじゃないか、と。

 そうこう考えていると、いつの間にかだいぶ下降していて、ひょこりと、最下層の採掘現場に辿り着いた。

 「ああ、おかえり」

 鉱夫達が振り向いて手を振る。

 「丁度、俺達も片付けが終わったところです」

 「タイミング良いですねー」

 雪路は地面に降りてバケツを所定の位置に戻し、伸びをした。

 「じゃぁ、今日は解散ってことですね」

 「すまんね、遅くまで付き合わせてしまって」

 「いいえ。私、ここの担当だし」

 雪路は軽く首を左右に振った。

 時刻は既に定められた終業時間を回っている。機械が複数台不調の為、いつもより少ない生産分をどうにか少しでも平均に近付けようと、鉱夫達は作業時間を延長していたのだ。

 雪路や書記官達は定刻で帰るよう促されたが、書記官二人はともかく、雪路は使用済み鉱石の運搬も必要だろうと残って手伝っていた次第。

 「本当に変な花嫁候補だなぁ」

 笑う鉱夫達と共に、今度こそようやく終業時間を迎えて、雪路はそのまま地上を目指した。

 帰り道で待ち合わせをしていたウェンディには、昼休みに弁当を配達に来る配達員が、別件でウェンディのいる鉱石加工場にも行くというので、遅くなる事を伝言して貰っている。

 「お疲れ。気を付けてな」

 地上に辿り着くと外は既に真っ暗で、それぞれ寮や借家に戻って行く鉱夫達は、一人別方向の雪路にそう声を掛けた。

 「今日も飯に行くかと言いたいところだが、時刻も遅い。ウェンディもいないし、疲れただろうから、真っ直ぐ帰ると良い」

 「ありがとうございます、また明日」

 ヒラヒラと手を振って、雪路は彼等と別れた。

 元の服を事務室に忘れた事に気付いたけれど、戸締りもしてきてしまったし、まぁ良いかと、そのまま帰る事にする。

 キラキラ星が光る夜で、疲れたけれど、今日も中々いい日だったと、一人そう思った。


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