プロローグ
2×××年 太平洋上空に謎の亀裂が発生。
同時に目視可能な程の空間の歪みが生じ、竜や龍、スライムやゴブリンなどの人間が空想のものとして扱ってきたモンスターが産まれた。
モンスターには銃や薬、核すらも効果を発揮せず人類は滅ぶかに思われた。
それを救ったのは、何処にでもいるような普通の青年だった。
その青年が趣味としていることは「キャップ投げ」。ペットボトルキャップを投げる遊びだ。それが彼自身を、そして世界を救うきっかけとなった。
彼はその時モンスターに追われていた。がむしゃらに逃げ続けていたがやがて袋小路に追い込まれた。
彼はせめてもの抵抗としていつも制服のポケットに忍ばせているキャップを力の限り放った。
瞬間、眩い光を発しながらキャップは飛んだ。
そして、とてつもない速さで目標に届きそのモンスターを絶命させた。
これが、世界ではじめてのモンスター討伐となった。
青年がモンスターを倒したという情報は直ぐに国の知ることとなり、モンスター対策本部が設立され、各国との共同研究が進められた。
結果、"魔力"と名付けられた新しいエネルギーが見つかった。モンスターは勿論、全人類がそのエネルギーを量の差はあれど持っていることが判明した。
様々なもので魔力を使いモンスターを倒す研究が進められたが、どれも青年が放ったキャップほどの威力は出せなかった。ならば同じプラスチックで武器を作れば良いのではないかとプラスチック製の武器が作られたが実験は失敗した。
その後も様々な研究が行われ判明したことは、材質が何であれペットボトルのキャップの形をしていなければならないこと、道具を介してではなく素手で魔力を込めて放たなければならないこと、ある程度のキャップ投げ技術を持たなければ目標に当てることは極めて困難であること、そしてイメージをすることで魔力に指向性を持たせられること。イメージの込められた魔力はそのまま魔法と呼ばれるようになった。
その事からモンスター対抗組織が結成され、モンスター討伐のエリートたちは敬意を込めて『救世主』と称されるようになった。