23話 決着
さぁ協力してあれなんとかすっぞ、あれを解き放ったら世界がヤバそう。
爺の変貌に俺は嫌な予感が隠せなかった、二人は手の内というか技をしっかり見られている。
爺が身震いすると大きな塊が分離し、ティフィのイゴローナクそっくりに形作る,全身黒色で目玉と口があり余計不気味なものとなっている、時折テケリリと不気味な鳴き声らしき物を発している。それも2体。
やっぱし……ティフィの技コピーしやがった。
対抗してティフィもイゴローナクを繰り出すが2体相手では力負けしてしまっているようだ。
となるとアシュリーの邪神の拳とやらも。
見えないから姿形は儂のオリジナルじゃがの、と言うや否やそこかしこから、ティフィの人形同様真っ黒で目と口で覆われた、大小様々な手が現れ、俺たちに襲いかかってくる。
マドハンドかよ畜生。
こいつにシアエガの寄生能力が加わったら間違いなく世界は滅ぶ。
いつもならケツまくって真っ先に逃げるがこれはヤバい。
「さぁ何時まで守りながら戦えるかな?」
あろうことかコービットは、自分の手下であるはずのメイドへ向かって魔力波を放つ。
「この外道が!」
咄嗟に俺はシアエガを、魔力波の射線を遮るように投げつける。
シアエガお前の力を借りるぞ!
「ちょっと!僕戦力外なのに!!」
投げつけると同時にシアエガにジョブチェンジを施す、鎧から盾へ。
「ちょっとこれどういうこと!?、職業の範疇超えてると思うんだけど……」
シアエガは只の鎧から大きな盾へと変化し魔力波を完全に防御する。
「武器の種類とか職業みたいなもんだろ」
「本当チートだなお前もはや職業関係ないじゃないか」
「アイツも喜んでるみたいだし、細かいことはいいじゃねーかアシュリー」
「僕初めて人を傷つける事無く守ることが出来たんだね!」
心を持った兵器であるシアエガは、初めて人を守れた喜びに感極まって涙している。
大盾で儂の攻撃を防いだじゃとそんな馬鹿な!?
怯んだ隙にアシュリーが、地獄の業火をコービットに浴びせて焼尽くそうとするが、表皮を焼くばかりですぐさま再生しているようだ。
「再生……するなら……再生を上回る……ダメージを与えてやればいい……」
「そう簡単にいうけどなぁティフィ、私の魔法でも表皮にしかダメージを与えられないんだぞ。あ、そっか」
いまこそチームワークを発揮する時だ。
アシュリーがティフィにそっと近づき、何かを耳打ちした。
「良し私達の友情パワーを見せてやる」
「いったい何を吹き込んだアシュリー、ティフィが友情とは程遠い禍々しい殺気を放ってんぞ」
「いや〜ちょっと元気付ける魔法の言葉をな」
「あの爺がお前の服がダサいとバカにしていたぞと伝えただけだ」
それは断じて友情パワーとは言わん……。
「奴は逆鱗に触れたのだ」
「触れさせたのお前やろが!」
「まぁ細かいことは気にするな」
表向きは冷静に10万の人形を操るティフィだがマジ切れしているらしく。
人形の手にはそれぞれ屋敷の中やどこかでくすねてきたのかナイフやフォークなどの家庭用品から
包丁などの武器などが携えられていた。中には小石や木材等を持った人形も居るみたいだ。
「1のダメージでも……チリと積もれば山となる……」
「山になる前に、爺がチリとなって消えそうなんですがそれは……」
これから起こる惨劇を予想してしまい思わず目を背ける。
うわ……音だけで正気を削られそう……。文字通り僅かずつ削られていく音が聞こえる、儂は不死身だー!と断末魔と悲鳴が入り交じった声が僅かに聞こえる……。
うわミンチよりひでぇや……オロロロロロロ……。
「ティフィの奴ミンチにするの上手だな、今度料理手伝ってもらおうかな」
「アシュリー、だからお前はいい加減料理から離れろ!」
俺は慌てて目をそらしたから免れた物の、時間経過で元に戻ったシアエガは、直視してしまったらしくぶっ倒れて気絶してしまった。
この騒ぎでいつの間にか目を覚ましていたメイドたち、そしてエミリーが不安そうに俺に尋ねてくる。
「ねぇ私大丈夫だよね!?殺されないよね?」
「俺の言うことは聞くからたぶん。不安なら謝っておけば?」
服を貶されただけでマジおこになったティフィを見て、あらためで自分がしでかしてしまったことに不安を覚えたらしい。
あっという間に一欠片の肉片にされてしまったコ−ビット。
俺は肉片にそっと触れて、コービットを無職へと貶める、これだけ弱っていれば楽勝。
コ−ビットが無職になると、操っていたイゴローナクコピーと邪神の拳はドロリと溶けて、黒い水溜まりの様になる。
「これケンイチが飲んだスープそっくりじゃね?」
「止めろアシュリー思い出させるんじゃねえ……」
やいのやいの騒いで、残った肉片に止めを刺そうとした俺達の間に、割って入る者たちがいた。
3メイドが再度、俺達の前に立ちふさがる。
手を大に広げ俺たちがコ−ビットに止めを刺そうとするのを止めようとしてきた。
雇われていた恩義でもあるのかと思いきや。
真の目的があるみたいだ。
クルリと俺たちに背を向けると。肉片に向かってそれぞれ強烈なストンピングをしたり拳を叩きつけたりしている。
「コービットに止めを刺すのは私たちよ!!!」
「薄給でさんざんこき使いやがって!こんの糞爺が!!!」
「触手でセクハラしてきやがってこのエロ爺!何か副乳見せてよ!」
「あぶねー喉元まで出掛かってた……言わなくて良かった……」
「どうやら呪縛はすっかり解けたらしい」
おーこわ……、とりあえず一件落着かなぁ?
さて帰ろうとした俺達の事を、3人は仲間になりたそうにこちらを見ている。
「どうするケンイチこいつら連れて行くか?」
「雇い主居なくなったしいいんじゃね?」
「ちやんと……餌やり……するから……飼っていい?」
ペット扱いはどうかと思うが……。
「いざとなったら奴隷商に売り飛ばしてまたケンイチが脱走させればいい」
「お前とんでもねーこと平然と提案するんじゃねえ!」




