表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/40

第五話

沙羅が力強く言うと青龍は満足そうに笑った。

「有難う」

すると、それを見かねたように声がかかる。

「やっと来たんじゃな」

「ああ、玄武」

玄武と呼ばれた人は、少年と言うよりは、青年。年齢は二十歳くらいに見える。

身なりは青龍と殆ど同じで、着物の色は黒だった。

髪は銀髪。肩くらいまでで、そのまま放っておいてある。

「あ…えっと…」

沙羅が戸惑っていると、玄武が言った。

「おお。紹介が遅れたな」

玄武は屈託なく笑った。

「私は玄武じゃ。そうじゃの…外見はそんなに変わらんが、生きている年数は千年ぐらい長いんじゃぞ」

そう言って、声を上げて笑った。

見た目の割に言葉遣いが古いので、拍子抜けする。

すると、今まで個人で遊んでいた子供達は玄武に寄ってきた。

「げんぶさまーっ」

「きょーはなんのごよう?」

青龍には見向きもしなかった子供達は、皆、着物にみを包んでいた。

ある子は蝶柄の。また、ある子は花柄の華やかな着物を着ていた。

「皆元気だったか?」

優しく問いかけると子供は嬉しそうに笑った。

「うん!げんぶさまがまもっててくださるから!」

「そうか。よかった。しっかり勉強するんだぞ」

「うん」

その時、一番年上と思われる少年が玄武に寄ってきた。

年は十五くらいに見える。

「玄武様」

「おお、琥珀。久しぶりだな」

「もうすぐ私も出霊しゅつれいです」

「そうか…頑張ったな」

「ありがとうございます」

少年は深々と頭を下げた。

そして、玄武は二人と向き直った。

「そろそろ行くとするかの?」

「行くって…何処にですか?」

「審神様がお待ちじゃ」

そう言って玄武は歩き出した。

「え…っと…審神様って?」

沙羅は青龍に尋ねた。

「この世の全てを決断される方だ。お前が俺の主として相応ふさわしいかどうかの審判者だ」

「相応しい…」

沙羅が不安げに俯くと、青龍は沙羅の右手を優しく握った。

「青…龍?」

「大丈夫だ。俺が選んだ人間なんだから」

「うん」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ