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第七話

「……っ…青龍…」

沙羅は彼の衣をきつく掴んだ。凄まじい霊力に耐えられない。

自分達の目の前に居たもの。

それは…

「『龍』」

沙羅の呟きに、青龍はいらついたように舌打ちした。

眼前に現れたのは、赤い衣で体を被われた巨大な龍。

霊気が、熱い。

すると下で、さらに熱い熱気がほとばしる。

「な……っ…」

沙羅は目を疑った。

それは、自分達の真横まで羽ばたく。

「和美に負担がかかるぞ、朱雀」

例えて言うのならば、巨大な鳥。

赤く、熱い。

朱色と黄色の混ざった全身を被う羽毛。

「朱雀…なの…?」

「ああ。あれが、朱雀の正体だ。あいつは火神だから」

青龍の声は重く響く。そして、続く。

「四神は主の力を要して本物の力を成す。だから和美には相当な負担がかかるだ

ろう」

鬼と朱雀の霊力が熱風を発し、青龍と沙羅の黒髪を舞い上げる。

ゆっくりと下降し、屋上に足をつく。

「朱雀が妖化した。お前はどうする?青龍」

穏やかな声とは裏腹に、厳しい表情をした玄武が言った。

「無論だ」

青龍はきっぱりと言った。

しかし、玄武は静かに聞き返した。

「それが沙羅殿に大きな負担をかけるとしてもか…?」

「ああ」

そうして、沙羅と視線をぶつけた。

沙羅は少しだけ瞳を伏せると、決心したように瞳を開く。

「負けないわよ。私」

力強く笑って見せる沙羅を穏やかに見つめ、妖化した朱雀を見た。

彼女の熱が、熱い。

「行くぞ」

短く青龍は告げた。


―――途端


熱さを通り越し、冷たい程の霊力が爆発した。

沙羅も季立を放った後に、更なる力を解き放つ。

『冷たい……』

青龍の凄まじい霊力に直接触れた沙羅は、不意に理科の授業を思い出した。


『炎は赤よりも白、白よりも青の方がより熱い……』


だからか。

だから、朱雀よりも青龍の方が熱く、強い。

青龍の『青』はいつも冷静であろうとする理性と、本当のチカラ。

故に、力を抑える必要だったのか。

だったら……

「力を貸すわ…」


爆発的な霊力を青龍に受け渡す。

青龍の姿が、変わる。

青銀の龍へと。

「……っく…!?」

唐突に沙羅の身体に激痛が走る。否、身体だけではない。心もだ。

「沙羅は…大丈夫か?」

純がそう呟くのが聞こえた。玄武に尋ねているのだろう。

そんな事を頭の片隅で考えながら苦痛に耐える。

和美も同じようにこの痛みに耐えているのだろうか。

歯を食いしばり、拳をにぎりしめる。視界の中で青銀の龍が空に舞い上がるのが

分かった。

すると、純が沙羅の肩に手を置く。すっと、身体の痛みが引く。

「半分、俺が引き受ける。だから、大丈夫だ」

「ん……ありがとう…でも、和美ちゃんは……」

「見ろ。ほら…」



お久しぶりです。

久々の更新で、少し戸惑っております…


感想など頂けると、早々な更新が望めるかもしれません(笑)

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