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第五話


「うそ……夢…?」

視界がぼやける。

ああ。やっぱり夢だ。

だって、彼はもう私の元には来れないのだから。

夢でもいい。

彼を見ていたいのに、視界が霞む。

それは、なぜ?

「心配かけた。済まない」

背を向けたまま、言葉を発する。

懐かしい声が、耳をつく。

「沙羅さん!!」

「沙羅!!おい、大丈夫か!?」

いつもいつも…

意味無く呼び出してと、怒っていた。

いいじゃないと、笑っていた。

「沙羅!?大丈夫?」

聞き慣れた高めの声が、心地よい。

「沙羅さん…ご苦労様」

ほら。

やっぱり聞こえる。


「沙羅っ!!」

「沙羅先輩!!」

その時駆け込んで来た純と和美は目を見張る。

「何で青龍が…?」

「詳しい話しは後だ。お前達はこいつらに突いた悪霊を浄化しておけ」

「はい」

和美がしっかりと返事をする。

そして、振り向く。

「沙羅」

「どうして…?」

まだ夢のような気がして。現実味がなくて。

「大丈夫か?ああ。少し出血があるな」

そっと沙羅の頬に触れる温かみがあって。

頬に涙が伝う。

「青龍…」

「ああ」

優しい手だ。

「泣くな。お前にも、霊力が戻ったはずだ」

「え…?」

急に視界が現実味を増す。

純と和美が一人づつ、浄化の珠をかけていた。

「私…見えているの…?夢じゃない…?」

「ふざけた事を言うな。季立達も心配そうだ」

「え?」

今度は背後を振り返る。

今まで美佐を庇っていた場所。

「みんな…!!」

「この美佐って人、傷はたいしたことないから治しておいたよ」

身長は、沙羅を越えるだろう。

立夏が微笑んで言った。

よくよく見れば、季立全員が沙羅の背を越えていた。

「みんな…背…」

「ああ。安心しろ。小さくなることも可能だ」

「う…ん…」

何を安心するのかよく分からないが、とりあえず同意した。

しかも小さい時はあまり気にならなかったが、四人の翼はだいぶ大きい。

「有翼人て事ね」

「ちょっと!!私達を妖怪と一緒にしないでくれる!?」

「立秋!!」

沙羅は彼女に抱き着いた。

「なっ!!何…」

「よかった…前に一度来てくれたよね…?」

「…うん」

やはりあれは、気のせいではなかったと自覚する。

「青龍、全員浄化した」

険しい表情の純が、和美と共に近寄る。

「ご苦労。だが、終わってはなさそうだな」

「え?」

青龍の言葉に、全員が倒れた生徒をみやる。

「鬼だわ…」

真っ先に気付いたのは沙羅だ。

亜桔の時ような玄い雰囲気が漂っている。

「ああ。新手だ」

青龍は純と和美に目配せした。

二人は無言で頷くと、二人の神を召喚した。

「おお。久しいの、沙羅」

「お元気そうで何よりです」

「お元気かどうかは分からないけれど…とりあえずはお久しぶりです」

複雑な思いで、沙羅は微笑んだ。

なぜなら、沙羅は未だ真実を知らないから。

「再開の挨拶は済んだか?」

青龍は一度も玄武と朱雀を見ずに言った。

「来る」




ランキングの参加を願います!!

(それでひょっとしたら話の転換変わるかも……)

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