表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/40

二章:第一話


四神・青龍の主として戦っていた沙羅だったが、

青龍の思い人が朱雀だと思いこんでしまう。

そんな中繰り広げられた戦いで青龍は瀕死の傷を負ってしまった。

二度と青龍とは会えないという約束で、ぎりぎりの命を取り留めた。

先の戦いで、青龍と別れた沙羅。

自分の思いを伝えることが出来ないままだった。

それでも純や和美は修行に励んでいた。


しかし、霊力の無くなった沙羅に新たな鬼が迫る…?


青龍と出会って、たった二ヶ月間だった。

そして、彼と別れて三週間が経っていた。

一週間は伏せっていたものの、沙羅は猛勉強を始めた。

理由は二つ。

一つは、受験生だから。

二つ目は、青龍を忘れるために。

ただひたすら机に向かった。

それでも夜は、泣いた。

相変わらず純達は修行をしているようだったが、一度もあれから行っていない。

行ったところで、何も出来ないし、むしろ邪魔になるだけだろう。

「ふぅ……」

ぎしりと、椅子の背もたれがきしる。

勉強が身に入らない。

塾に行っている間は、まだマシだ。

だが、一人になるとどうしても考えてしまう。

彼の事を。

右手で洋服の上から胸元を触ると、しゃらり、という音と、ひんやりした感覚が

伝わって来た。

ペンダントは、確かにここにある。

だが、中心の宝石が無い。

ふと、開けていた窓から風が入る。

青いカーテンがふわりと、舞う。

一瞬…

青龍の幻を見た。

もう会えないと、解っていても。







夏休みが終わった。

暑さは未だに変わらないが、暦の上ではもう秋だ。

ふと、駐輪場で涼しい風が吹いた。


「立秋…?」


彼女が今ここにいた気がした。

ひょっとしたら、本当にいたのかもしれない。

季立は四神ではないから、自由に下りて来れるのかもしれない。

それに、今の自分は霊なる者は見えない。

沙羅は笑った。

立秋のあの傲慢な態度を思い出す。


不意に、後ろから肩を叩かれる。

「よぉ…大丈夫か!?」

「は…?」

いきなり沙羅の肩を叩き、驚く不届き者は純しかいない。

「お前、目ぇ真っ赤だぞ?」

「んー…そうかも…」

両手で目をごしごしと擦った。

しかし、純はその手を止める。

「止めとけ。眼球が傷つくぞ」

「うん…」

素直に手を下ろした。

純は心配そうにこちらを見ていた。

「ほんとに大丈夫だから…」

沙羅はそう言って、教室へ逃げるように走っていった。

「あっ!!沙羅、おはよー」

教室に入ると、美佐が奥の方で手を降っていた。

「美佐…おはよう…」

無理矢理笑って見せたが、心は泣いている。

「沙羅…何かあったん?」

「……たぶん」

「たぶんて何よ。たぶんて」

美佐はいつものように突っ込んでくるが、苦笑いで返す。

「本当に大丈夫?」

「わかんない……」

「保健室行こっか。話し聞いてあげる」

そう言って立ち上がった彼女を、沙羅はブラウスの袖を引っ張って止めた。

「?」

「保健室は駄目…屋上にしよう?」

「別にいいけど…」






「体調はいかがですか?青龍様」

青龍の枕元に座った二十歳程の女性は、穏やかに聞いた。

「……気分は悪くない」

「それはなによりです」

それは、朱雀やそれとは違う。

「ったく…頼りねぇな」

薄暗い青龍の部屋の隅に腕組みをしながら壁によっ掛かっている青年は、馬鹿に

したように言った。

「そんな言い方しない。現に、神様なんだから」

襖を開けて入って来た、同年程の青年は抗議した。

「俺らだってそうだろ?」

明らかに苛立った声が部屋に響く。

「ただいまー…」

先程の青年に続き、十六程の少女が入って来た。

「お帰りなさい、立秋」

「んー…ただいま、立冬」

立秋は立冬の隣に腰を下ろす。

すると、腕組みを解いた青年が立秋の横まで来た。

「何よ、立春」

「沙羅はどうしてた?」

立春は唸るように言った。

「駄目ね。大分やつれてたわ」

「立秋に気付いた?」

「立夏…」

立冬は悲しそうな瞳を彼に向けた。

「沙羅さんは霊力を全て失ったのよ…分かる訳が……」

「気付いたわよ、沙羅」

「!?」

「もっとも、見えてはいないけれど」

「そう……」

季立は今、常人と同じ背丈だ。

四人は神界に来た時に、霊力の濃さで大きくなった。

「青龍。俺はお前を恨んでるぜ?」

立春は低く言った。

「……………」

「沙羅を傷つけやがって。本当だったら殺してやりたい位だ」

「……済まない」



8月2日

わー!!

4000人突破ーーー!!!!

すっごい嬉しいです(泣)

毎日百人くらいの人達に来て頂いているんです!

ほんとに有り難うございますっっ!!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ