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第二四話


ここからものすごくシリアスです。

ついて来られる方だけおいでください。


本当にひどいですよ…?


「…ん……」

気がつけば、真っ暗闇の中にいた。

見渡す限り闇、というのはまさにこの通りなのだろう。

右か左か、前か後か。上か下か。

だが、不思議と恐怖感はなかった。


『何に悲しんでいる…』


声…

悲しむ…?

私が?


『こちらに来い。さすれば、その苦痛から解放される』


男の声。

だが、しかし…


「一番悲しんでいるのは貴方じゃないの…?」


だって…

語りかけて来られる声は明らかに悲しみを秘めている…


「どこか…痛いの…?」


『気にするな。お前の元に、亜桔という鬼を出向かせる。返答はその時に』







「沙羅…?」

目を開けると、誰かが自分の顔を覗き込んでいた。

「…え?」

それまで、自分が眠っていた事さえ分からなかった。

「大丈夫?」

「お母さん…」

「何か…怖い夢でも見たの?」

「ううん…大丈夫。今って何時?」

外が明るいのは分かるが、時計が見えない。

「八時よ」

「んー…ありがとう…」

沙羅はそう言って、ベッドから下りた。

「本当に大丈夫?」

「うん。全然平気」

笑って言った。

だが、心は笑えない。

理由は簡単だ。

気付いてしまったから。


一階に行くと、電話の前に立った。

今日、修行に行くべきかどうか。

「やっぱり行くの止めておこう…」

受話器を取り、純の携帯に電話。

三回目のコールで、純が出た。

「もしもし?」

『沙羅か?もうみんな来てんぞ。青龍だって、ここにいるし…』

「うん…今日はちょっと止めておく…」

『大丈夫か?何かあったのか?』

「大丈夫。青龍には…帰ってもらって……」

『沙羅…お前…』

「ごめん…じゃあね」

『あ!おい…』


強制的に切った。






「切れた…」

半強制的に切られた携帯を見つめながらしばらく呆然としていた。

「先輩、沙羅先輩どうしたんですか?」

和美が純に尋ねて来た。

「あ…いや、なんか…」

そういえば…

「青龍…お前、昨日沙羅と何かあったな…?」

純は声音を落として言った。

「な…!?」

すると、和美も純の肩を持った。

「なほど!!沙羅先輩を怒らせちゃったんですか!?」

「何だ、やっぱりそうじゃったか」

「玄武…てめぇ…」

「あら。何?沙羅さん襲っちゃったの?」

「はぁ!?朱雀何言って…」

「何だと!?中々やるな、青龍!」

「白虎…」

調子にのって人間に加勢する他の四神に怒りを覚えた。

そんな騒ぎの中、沢だけが冷静かつ集中して珠を唱えていた。

「おい青龍っ!!沙羅に何言ったんだ!?」

「何も言ってないと言っているだろう!!」

純の言葉に抗議しながらも、沙羅の事を考えていた。

その時だった。

「……五の珠・束縛」

沢の放った珠は見事に純に命中した。

「な…ん…」

いきなり体の感覚が失せた。

体の自由が奪われたとしか言いようがない。

「あ……」

沢は見た目と大分違って、天然と言っていいほどの性格である。

「え〜っと…」

どうしたらよいのか迷っている沢に全員の注目が集まる。

「あの…俺、この珠の解き方知らないんだけど…」

「『解』と言えばいい」

青龍は腕組みをしながら言った。

沢は、なるほどと納得しながら珠を唱えた。

「わっ…!!」

いきなり珠が解けたせいか、純の体が地面に倒れ込む。

「…ってぇ……」

「流石は沢だな」

関心したように白虎が言った。

「はぁ…ありがとう」

「あら。修行ははかどっているようですね」

くすくすと笑いながら愛美が弓道場に入って来た。

「どうなんでしょう?」

和美は笑って青龍達を見た。

「でも、楽しいわ」

「そう。それはよかった」



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