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第二十話

今日の修行内容。それは神と主がペアになり、ニ対ニで戦う。

「まずは、私達、和美様と純様の所ね」

朱雀は微笑みながら言った。

純と玄武は何やら打ち合わせをしている。

「んじゃ、いっちょやってやるか」

純はそう言って右手を上に振り上げた。

そこには短刀が握られていた。

「始めっ!!」

沙羅の掛け声と共に、四神二人の姿が消えた。

それと同じ時、短刀を持った純と緋色の刀を持った和美が切り掛かった。

激しく鉄がぶつかり合う音。

「玄武!五十の珠!!」

純の声と共に、黒い光が和美の背後に凄いスピードで回った。

「朱雀!三五の珠っ!!」

和美も叫んだ。

すると、黒い光は弾かれるようにして離れた。

「すご…」

沙羅は呆気にとられた。

「四神を使いこなすということは、こう言う事だ。意思が強くなければ負ける。

強ければ勝つ」

青龍は厳しい目で戦っている四人を見た。

「青龍…」

沙羅がそう呟いた瞬間、純から声が上がった。

「沙羅ッ!!和美が…!!」

純の指差す方を見ると、和美は弓道場の外れの岩に飛ばされていた。

「和美様っ!!」

朱雀が駆け付けようとしたが、間に合わない。

「…っ!立秋ッ!!」

沙羅は和美に向かって立秋を投げ放った。

立秋は朱雀より遥かに早いスピードで和美と岩の間に入り込み、和美を浮かせた。

立秋はそっと和美を地面に降ろした。

「う……」

「和美ちゃんっ!!」

全員は一斉に駆け寄った。

「大丈夫か?」

純が和美の顔を覗き込むと、恥ずかしそうにごめんなさいと言った。

「いや…悪いのは俺だし…」

「沙羅さん…」

朱雀が縋るような声で名を呼んだ。

「分かってるわ」

両手を前にだす。

言霊を言おうとした沙羅の髪が引っ張られた。

「ん?」

『私を忘れないでくれないかしら』

立秋がむすっとした顔で言った。

「ごめん。お疲れ様」

沙羅はそう言って、立秋を自身に治めた。

「十七の珠・回復」

両手から温かな光がほとばしる。

「すげぇな。回復術で永昌破棄かよ」

純は関心したように言った。

「うん。これは結構練習したんだ」

「へぇ…」

和美の傷が大分治った所で沙羅は術を止めた。

「じゃあ、次は俺と沙羅だ」

純は自身満々に言った。

「いいわよ。受けて立とうじゃない」

「おい…」

青龍は沙羅に少し短めの刀を渡した。

「ん。ありがとう」

沙羅は笑ってそう言うと、純と一定の距離を置いて向き合った。

青龍は沙羅の斜め後に回る。

「始め!!」

朱雀の声が響いた。

「な…っ…」

朱雀の声とほぼ同時に純が切り掛かって来た。

「…っ」

力が強い…

余りの強さに沙羅は顔を歪めた。

「玄武!ニの珠だ!!」

純は力を弱めずに叫んだ。

後に霊気を感じる。

「青龍!結界お願い!!」

沙羅は叫んだ。

「立秋っ!!」

紅い光が沙羅な周りを徘徊する。

そして、沙羅の体を持ち上げる。

「なん…っ」

のしかかっていた相手が突然いなくなり、純はバランスをくずした。

「てめ…っ!!卑怯だぞ!!玄武っ!!」

空中に浮いた沙羅に向かって、純は玄武を放つ。

「わっ!!」

玄武の攻撃をぎりぎりでかわし、青龍を純に向けて放つ。

「青龍!!霊砲っ!!」

青龍が純を攻撃したのを確認してから、沙羅は地面に降りた。

「立秋、もうしばらく待機しててね」

沙羅は背後に戻った青龍を振り返り、何か言おうとした。

しかし、喉が詰まる。

「…っ」

青龍は純と玄武に気を取られていて気付かない。

「青龍っ!!行って!!!」

沙羅は声を振り絞って叫んだ。

青龍は沙羅の言葉に従う。

「…っ…か…」

息が…できない…


『チガウ…』

なにを…


『オマエハソコニイルベキ、ニンゲンジャナイ』

やめて…


『コチラニコイ…』

ヤメテ…


『コイ…』

「……っや!!!!」

沙羅は耳を塞いでしゃがみ込んだ。

しかし、それと同時に純が霊砲を放つ。

「やば…っ…」

純は咄嗟に手を引いたが遅かった。

そして、彼女は動こうとしない。

「沙羅っ!!」

青龍はその名を呼び、純の霊砲より速く沙羅の元にたどり着き、抱きしめた。

「…っ!?」

霊砲をまともに受けた青龍は痛みに顔を歪めた。

沙羅は青龍の腕の中でがたがたと震えていた。

「…は…っ…」

「大丈夫ですか?」

朱雀は穏やかな表情で二人の顔を覗き込んだ。



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