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第二話


「あ……」

また目覚めてしまった…

何度も見る夢。

朝起きるといつも疑問に思う。

あの薄氷色アイスブルーの中にいる、あれは一体何なのか。

沙羅サラ、起きてるのー?」

一階から母の声が聞こえてきた。

彼女の名前は沙羅。

中学三年生。

「沙羅ーっ?」

「起きてますーーっ!」

再度問われた事に少々苛立つ。

トントンと身軽に階段を下りる。

朝食と取りながらも、考えはまとまらない。

あの夢を見るのは初めてではない。

むしろ、毎日見ている気がする。

最近考え事が多くなった気がする。

あの夢のせいなのか。

どうしても気になる…

学校でも授業にならない。

ずっと頭がはっきりしない。

すると、一人の少女が問いかけてきた。

「あなた…沙羅さんですよね?」

中学生とは思えないほどの愛らしさ。

髪は肩くらいまでで。軽く結ってあった。

「そう…だけど。あなたこそ誰?」

沙羅はいぶかしそうに見上げた。

椅子に座っている沙羅よりも少し顔の位置が高いくらいだから、とても小さいのだろう。

「二年二組の藤川ふじかわ 愛美まなみです。少しお伺いしたいことがあって…」

沙羅は少し考えた後、分かったと言って廊下に出た。

「聞きたい事って?」

「単刀直入に聞いてもいいですか?」

いったいこの子は何が言いたいのだろう。

藤川 愛美と名乗ったこの子に違和感を覚えた。

「沙羅さん。四神しじんって知っていますか?」

「四神…」

「知っていますね?」

「聞いたことはあるけど…実際何なのかは知らないわ」

「神です」

「は?」

それは…

四神と言っているのだから、四つの神だとは分かる。

それが一体何なのか。

「それで?」

その先を聞き出そうと、言葉を促す。

「お願いがあります。川内かわうち先輩を呼んで下さい」

「は?」

再びあっけにとられる。

一体何なのだろう。

言われるままに川内純を呼んだ。

純とは同じクラスである。

仲も決して悪くはない。

むしろ、良い方だった。

なにか引かれ会うものを感じていた。

「よお。藤川じゃん。沙羅、知ってんのか?」

純は教室のドアにもたれ掛かって立っていた。

「純こそ知ってんの?この子」

「いや…三年の中でも結構有名な子だぜ。何しろ…」

「川内先輩。私からお話したいのですが」

純が何か言おうとしたのを遮った。

「すげ…先輩の話を中断出来る奴ってそうそういねぇな」

純は一人で感心していた。

「私は巫女です。沙羅さん。協力して頂きたいことがあります」

「巫女ぉ?中二で?ふざけてるでしょ?」

「真面目な話だぜ、沙羅」

純が横から釘を刺した。

「は?本当なの?」

「ああ。こいつん家は代々神社を継いでるんだ」

「よく…知ってるわね」

沙羅は目を丸くした。

「はい。私の父は神主をしています。叔母様は素晴らしい巫女だったと聞いています」

「だった?」

はい、と少し瞳を伏せた。

「叔母様は異世界にお行きになりました」

沙羅の頭は限界が近かった。

何を訳の分からない事をいっているんだと…

異世界?

「もういい加減にしてくれない?藤川さん」

「冗談だとお思いですか?」

「信じろ、と言う方が無理だろ」

純も同意する。

「信じて頂けないと困ります」

それでは、と言って質問してきた。

「あなた方は、不思議な夢を御覧になりませんか?」

「それっ!」

「それは!!」

沙羅と純は同時に声を上げた。

「「え…?」」

二人は互いに顔を見合わせた。

「やはりそうでしたか…」

愛美は一人で納得していた。

「あれの正体を知っているの!?」

沙羅は声を荒げた。

「はい…おそらくは、としか分かりませんが…」

「教えろ、今すぐだ」

そう純が言った瞬間、チャイムが鳴った。

わらわらと生徒が教室に駆け込んで行く。

「場所を変えましょうか」


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