第十七話
「やっと学校終わったな…」
純が椅子の背もたれに寄り掛かり大きく伸びる。
「じゃあ、通知表を返すわよ」
先生の言葉に嫌だと騒ぐ生徒、早く返してと喜ぶ生徒。
みんなの反応は様々だ。
「はいはい、静かに。小学生みたいな反応しないの。じゃあ、1番の純君から」
出席番号1番の純が先生と共に廊下に出る。
「どう?自信の程は」
前の席の正実が沙羅に聞いてきた。
「あんまり聞かないでほしいな」
苦笑いで答えた。
すると、純が帰って来た。
「どうどう!?どうだった!?!?」
周りの男子が純の通知表を覗き込む。
「おい…」
「すげぇ!?こいつ4と5ばっかだぜ!?」
純の後の竜が大声で言った。
「うっせーよ。5なんて三つしか無ぇだろうが」
「後は…3が二つ…後は全部4か…すごいわね」
男子の群れに紛れて沙羅と正実が覗き込んだ。
「ぅおい…沙羅、お前呼ばれてるぞ」
「沙羅さーん」
先生が教室のドアから顔を覗かせていた。
「あっ!はい」
沙羅は慌てて廊下に出た。
「うん。よく頑張ったわね。他の先生も褒めていたわよ」
「え…?」
通知表を受け取った沙羅は歓声を上げた。
「やった!!5は…四つ!?やった!!純に勝った!!」
大喜びで教室に入っていった。
「どうだった?」
美佐と正実が聞いて来た。
「二人のも帰って来たら教えてあげる」
そんな様子を神界から水鏡で四人は見ていた。
「やっぱり、私達の存在を知らずに暮らしていた方が幸せなのではないのかしら
…」
朱雀は俯きながら言った。
他の三人は何も言えなかった。
「どうしても…私達がいたら普通の生活は無理だわ…」
「仕方がないじゃろう…たとえ、それを純が望んだとしても受け入れてもらうし
かない…」
玄武も複雑だった。
「神って何とも自分勝手な生き物よね」
「先輩、今日も修業だって言ってましたけど…」
放課後、純と沙羅の元にやってきたのは和美だった。
「俺は行くけど…沙羅はどうする?」
「私は止めておく。やりたいこともあるし」
「そうか…」
「うん。じゃあね」
沙羅はそう言って帰っていった。
「先輩…今日の事を気にしているんでしょうか」
「多分な…自分の能力をコントロールできなかったから…か」
沙羅は家に帰るなり、自分の部屋にこもった。
今は家に誰もいなかった。
かえって都合がいい。
まずは、自分の力を扱えるようにしなくては。
「え…っと…何だっけ」
言霊が思い出せない。
どうしたらいいか…
『大丈夫だ。お前には分かっている』
青龍の言葉が甦った。
分かる…?
私に……
『四の泉に湧き出し水の精よ。青龍の主である我に使えよ。季立』
唄った。
言霊を。
すると、四つの光が自身から飛び立った。
「…?」
それはまた次第に人型に変わった。
「小人…?」
沙羅は思わず呟いた。
『失礼ね。小人じゃないわよ』
紅いの光の人型が喋った。
『何て説明するのが1番分かるかな?』
青い光も言った。
『とりあえず…こんにちは、沙羅さん』
黄色い光の少年には羽があった。
よく見れば、四人とも全部に羽が生えていた。
「鳥…じゃないよね?」
『ああ。俺達は各季節の特徴を司った神だ』
碧の光の人が言った。
「神様…四神とか、十二神将みたいな?」
『うん…ちょっと違うんだけどね。僕の名前は立夏』
青い光が名乗ると、続いて紅い光が言った。
『私は立秋。秋の神様よ』
『俺は立春。春の神だ』
「碧なのに春なの?立秋と立春って逆のイメージがあるね」
『うるせぇ!!そんなことはどうでもいい』
『あーあ。沙羅さんに怒鳴っちゃって。私は立冬って言うんだ』
黄色い光が言った。
沙羅はずいぶん賑やかな神様だと思った。
四神とは大きく違う。
沙羅は思わず吹き出してしまった。
『?』
「ごめんなさい…なんか久しぶりこんなに楽しくて」
『私達は沙羅さんにしか扱えないのよ。貴女が望む事以外は何もしない。だから
、しっかり私達をコントロールしてね』
立冬は笑って言った。
「うん…」
『一度使ったから分かると思うけど、僕は風を操るんだ。風化集結、で風を刃の
ように鋭くできる。だから滅多な事には使わない方がいいよ』
立夏は苦笑いで言った。
それと同時に自分はそんなに危ない術を使ってしまったと後悔した。
『俺は、まぁいわゆる幻影を見せるんだ。幻想夢幻。相手が一番見たいと思っているものを
な。ちょっとばかし残酷かもしれねぇけどな』
「やっぱり立春って似合わないね」
『しょうがねぇだろうが!!第一それはお前が望んだ事だ』
「私が…?」
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