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短編小説集  作者: 裕澄
23/40

桜の木

夏なので、

夏っぽい作品を書こうかな?とおもいまして…。


制作キーワードは、ネタバレ含むので、後書きで…。

「お姉さん。そんな所にぶら下がってて、楽しいの?」

小高い丘に生えている桜の木の根本に

もたれ掛かっている10歳ぐらいの少年は、左目をつぶって

木にぶら下がっている制服姿の少女に話かけた。


「…あなた私が見えるの??」

少女は、少年に聞いた。


「うん。」

少年は興味がなさそうに呟いた。


「大丈夫だよ。お姉さんは、“出来た“んだよ。」

少年は、枕の変わりにしていた鞄から古びた本を取り出して読み始めた。


「…よかった。」

少女の声に少しだけ明るさが出た。


「でもさ、僕がお姉さんのこと視える(みえる)ってことは…。」

少年は古びた本から目を離さず話続けた。


「“この世に未練があって成仏出来てない“ってことなんだよね。…まぁ。僕には関係ないけど。」

少年はつまらなそうに呟いた。


「…そう。」

少女は黙りこんでしまった。


「どんな理由でこの桜の木を使って死のうって

思ったのか知らないけど、この桜の木の下は、僕のお気に入りの場所なんだよね。だから、邪魔されたくないし」

少女と話している間、少年はずっと左目をつぶったまま話している


「このままお姉さんを放っておいて悪霊化されたら僕が困るんだよね。『霊が出るし変な奴が居るから、近づかない様にしよう』ってなってるのは都合がいいんだ。

そこら辺に居るただのガキ、相手にするのも面倒だからね。

それに悪霊化したら、お姉さん問答無用で除霊されちゃうし。未練残したまま除霊されたくないでしょ??」

少年は少女の足元にもたれ掛かりなおした。


「…みんな、どうしてるかな。あれからどれぐらいの時間、私はここに居るの??」

少女は寂しそうに呟いた。


「さぁね。僕のクソ兄貴が言ってたんだ。みんなの憩いの場所になってるこの丘には、何人も霊が居るけど桜の木には、“40年迷ってるのが居る“って。

それ、お姉さんのことじゃないの??」

いつのまにか、少年は左目をつぶらず話している。


「僕は、除霊師のクソ兄貴と違って霊力安定しないから、

左目つぶって意識集中させないと、お姉さんとか見えないし

声も聴こえないし。


…これから先は独り言だから。

僕は、悪霊専門の除霊師のクソ兄貴みたいに悪霊化してから、除霊させるとか嫌だからさ…せっかくだから頼ってよ。

筒猪(つつい)の落ちこぼれだけど。」

困った様な顔で少年は、また左目をつぶって少女をみた。


「…じゃあ、私もこれは独り言だから…筒猪って確か除霊師とかの名家よね。私の願い叶えてくれる??」

少女は顔を上げて呟いた。


「…お姉さん笑ってる方が、俯いてるよりぜんぜんいいよ。

僕は、洸太(こうた)筒猪洸太(つついこうた)よろしくね。

お姉さんの名前は??」

洸太は少女の横に立って少女を見上げた。


「…岩瀬麗美(いわせれみ)。…よろしくね、洸太くん。」

麗美は洸太に笑顔を向けた。


「…僕が叶えてあげるから。麗美さんの願いは何??」

洸太は年相応の少年らしい笑顔を麗美に向けた。


「…お母さんとお父さん

それに、美佐(みさ) 賢二(けんじ)が、元気か知りたい。

…私が…こうなったけど、家族みんなの今が知りたい。」

麗美は、何かを決心した様にはっきりと洸太に伝えた。


洸太は、左目をつぶるのをやめて、

「…わかった。麗美さんの想い叶えてあげる。…だから、もう少し待ってて。」

そういって、麗美の居る桜の木を去っていった。


『ありがとう…洸太くん。』

去っていく洸太を見ながら、麗美はそう呟いた。

前々から、こう言う話は書きたかったんですが、

いい話が思いつかなくて、先延ばしにしてました(笑)

洸太は、真下から麗美を見ている描写にしたかったんですが…(この先はお察しください)


制作キーワード

幽霊×少年


次話に続きます

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