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theme/assort  作者: 星崎 唯
1/4

彼が人外

お題:「彼が人外」


あらすじキーワード:ファンタジーっぽい/少女/恋人/ホラー?にみせかけた/ほのぼの?

彼の外見はあまり詳しく書いてないので好きなように想像してください。

 真っ暗な部屋の中で骸骨を見ると驚くでしょ。

あれと同じような感覚だ。


 日が沈みきって夜遅く、ひんやりとした時間。

彼の家でソファの居心地が良くて私は転寝をしていた。

目を開くと辺りが真っ暗だった。昼は太陽の光が入ってきて

灯りをつけなくても十分だったのだが、いまは暗く重い。


 ソファの上で体を起こし何度か瞬きをしていると、徐々に頭が覚醒される。

ぼんやりとした視界の中で優しい声が届く。

千沙ちさ


 声がする方に視線を向ければ、暗闇の中で大きなシルエットが目に入る。

人のようで人よりも大きな輪郭をゆっくりと現しながら私の方へと近付いてくる。


 動きが鈍い頭で私はホラー映画でも見ているのだろうかと思えてきた。

大声で叫ばなかっただけマシだと思ってほしい。怖いのは苦手なのだ。

乾燥した口を開けると思いの外かすれた声になった。


「灯りつけてよ」

「あぁ、すまない。夜目が利くから忘れていた」

 暗闇の中から返事が返ってくる。

影が動いて部屋の中の灯りが一瞬でパッとついた。

急に明るくなったことに眩しくて目を閉じると涙が零れた。


 どうやら吃驚して涙が出ていたみたいだった。もしかしたら別の理由

なのかも知れないけれど夢の内容を私は覚えていない。

 ぱちぱちと何度か瞬きを繰り返して、やっと目の前の彼の姿を見る。


 ヤギのような角、獣の頭骨の頭。頭から下はきっちりと洋服を着込んでいて、暗がりの中で影だけ見ると

人間のようだけれど、人間のそれとは違う。

闇に溶け込むことに違和感もなく、寧ろ見るものを脅かす死神のようだ。


 彼に会うのが初めてだったら私は大泣きしてただろう。怖いと言って拒絶した。

でも、明るい所で姿もはっきり見えてしまえば見間違えない。彼だと安心する。


「千沙」

 彼が膝をつき、大きな体をかがめた。

ごつごつとした彼の手が遠慮がちに私の背中を撫でる。

私が涙目のまま、じろりと睨めば彼が困ったように眉を下げた。その表情に

思わず笑みが漏れた。

「ぎゅーっとして」


 彼が戸惑うように目を見張り、少ししてやわらかく空気が微笑んだ。

そろそろと力を加えないように気を付けながら彼の腕が私の背中へとまわされる。

「私、怖がりなんだから帰ったら直ぐに灯りつけてよ。びっくりするでしょ」

「そうだな。気をつける」

あやす様に背中を撫でられると、ぽかぽかとあたたかい気持ちになり瞼を軽く閉じた。

落ち着いたことでやっと彼の名前を口にする。


「タドレック、お帰りなさい」

「……ただいま」

人物紹介


千沙…人間の少女。怖いことは苦手だが彼は別。知っていくことで面白くなり好奇心をむける。

タドレック…死神のような見た目。優しくて愛に臆病。


人外の範囲が広かったので、好きに書かせていただきました。

リクエスト有難うございました!

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