シロヒトリ
夏の夜の帳が下りる
あなたは白いツバサをたたみ
生温い壁に寄り添う
理由なんて聞かないわ
どうせあなたは何も言わない
お前に言ったからって
どうにかしてくれるのかい
笑わせないでくれ
お前は俺が憎いのだろう
敵意しか感じないね
勘違いしないで
あなたに特に関心はない
ただ 私も蝶にはなれないから
夜を知ってるか
本物の夜を知ってるか
知りもしないくせに
せめてあなたみたいな
白を纏ってみたかった
闇の中で生きる俺の宿命だ
でも白は好きにはなれない
夜の中に溶けることが出来ない
あなたはきっと歯痒いのよ
でも それは 我儘
そして 私も 我儘
蝶にはなれない私
蝶にはならないあなた
でもあなたは美しすぎる
夜に抵抗する
あなたは いつも シロヒトリ
昼の月が落とした薄い幻影